4.23 衝撃応力
4.23 衝撃応力(Impact stress)
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機械部品は、しばしば衝撃を伴う負荷を受けます。落下荷重により部材に生じる応力を衝撃応力といいます。
図4.23.1に示す、高さ\( h \)の位置にあるウェイト(質量)\( W \)が、下端にあるカラーに落下する棒に発生する衝撃応力を考えます。
図4.23.1 衝撃荷重を受ける棒
ここで、
\( A \):棒の断面積(m2)
\( E \):棒の縦弾性係数(MPa)
\( l \):棒の長さ(m)
\( \delta l \):棒の変形量(m)
\( P \):たわみ量δlが発生する負荷(N)
\( \sigma_{ i } \):衝撃荷重により棒に発生する応力(N/mm2)
\( h \):荷重が落下する高さ(m)
\( W \):ウェイト(質量)(kg)
\( g \):重力加速度(=9.80665 N/s2)
図の系がひずみエネルギーの形で得たエネルギーは、
\( = \displaystyle \frac{ 1 }{ 2} \times P \times \delta l \) (式4.23.1)
一方、ウェイトが失った位置エネルギーは、
\( = Wg(h + \delta l) \) (式4.23.2)
(式4.23.1)と(式4.23.2)とは等しいので、
\( \displaystyle \frac{ 1 }{ 2} \times P \times \delta l = Wg(h + \delta l) \) (式4.23.3)
ここで、
\( P = \sigma_{ i } \times A \) ,\( \delta l = ( \sigma_{ i } \times l ) / E \) (式4.23.4)
の関係を、(式4.23.3)に代入すると
\( \displaystyle \frac{ 1 }{ 2 } \sigma_{ i } A \frac{ \sigma_{ i } l }{ E } = Whg + Wg \frac{ \sigma_{ i } l }{ E } \) (式4.23.5)
\( \displaystyle \frac{ Al }{ 2E }( \sigma_{ i })^2 – \frac{ Wgl }{ E } \sigma_{ i } -Wgh = 0 \) (式4.23.6)
\( \sigma_{ i } \) についての2次方程式 が得られます。+側が大きくなるとしてこれを解くと
\( \sigma_{ i } = \displaystyle \frac{ Wg}{ A } \left( 1 + \sqrt{ 1+ \frac{ 2hAE }{ Wgl }} \right) \) (式4.23.7)
が得られます。
(式4.23.7)より、\( h=0 \)のときに\( \sigma_{ i } = 2W/A \)になります。これは、負荷が急激に与えられた際に棒に発生する応力は、徐々に加えられた負荷によって発生する応力の2倍になることを意味します。
荷重が突然加えられたときのバーの応力が、徐々に加えられた荷重によって引き起こされる応力の2倍になることを意味します。
[例題]
下部にカラーが取り付けられた、長さ3m、断面積が600mm2の垂直に置かれた棒に、質量のわからないおもりがカラーから10mm離れた位置にあります。おもりが自由落下したときに棒が瞬間伸びた量が2mmであることが測定されました。おもりの質量と、棒が最大量伸びたときの発生応力を求めなさい。
ただし、棒の縦弾性係数は、\( E=20.59 \times 10^4 \)(MPa)( \( = 20.59 \times 10^4 \) N/mm2)
<回答>
(式4.23.4)、(式4.23.7)に与えられた数値を代入します。
ここで、
\( A \):600 (mm2)
\( E \):20.59×104(N/mm2)
\( l \):3000(mm)
\( \delta l \):2(mm)
\( h \):10(mm)
\( \sigma_{ i } \):衝撃荷重により棒に発生する応力(N/mm2)
\( W \):おもりの質量(kg)
(式4.23.4)\( \sigma l =( \sigma_{ i } \times l)/E \) より、
\( \sigma_{ i } = ( \delta l \times E )/l \) なので、
\( \sigma_{ i } = 2 \times 20.59 \times 10^4/3000 = 137.3 \) (N/mm2)
(式4.23.7)をWについて変形すると
\( W = \displaystyle \frac{ AL \sigma_{ i }^2}{ 2Eg \left( \frac{ \sigma_{ i } l }{ E } + h \right) } \)
これに、与えられた諸元を代入すると
おもりの質量は
\( W = 700 kg \)
になります。
参考文献
A Textbook of Machine Design R.S. Khurmi et al. 2005 India
引用図表
図4.23.1 衝撃荷重を受ける棒 A Textbook of Machine Design
ORG:2020/9/3