TRIZ 40の発明原理

TRIZ 40の発明原理(40 principles:TRIZ keys to Technical Innovation)

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TRIZとは、ロシア(旧ソビエト連邦)の特許審査官だったアルトシューラー(G. Altshuller)が、ソビエトの多くの発明・特許から原理を抽出して、問題を効率よく解決するための手法としてまとめたもので、理想的な解決策までの道程が誰にでもできるように体系化したものです。

日本では、アメリカでブームになっていたものが、1990年代後半に紹介されました。2000年代前半にかけて日本でもブームになりました。今でも、特に技術的なアイデアを出すために広く使われています。 筆者がリエゾンをしていた頃に日本に紹介されるようになりました。 リエゾンの仕事として、発明特許を提出してもらうために、技術部向けにTRIZを紹介した記憶があります。

具体的には、このサイト “monozukuri.sqcd-aid.com” に特許検索方法について書く予定のコンテンツに含もうと思っています。

TRIZは、いくつかの手法が集まって構成されていますが、本コンテンツはその中で最も基本的な手法である、「40の発明原理」について述べます。これは発明する際の定石を集めたものです。ロシア人の著作なので、少し抽象的で分かり難いところはありますが、創造性?を持って読んでみると、とても役に立ちます。

Contents

[40の発明原理]

1.分割の原理(Segmentation /Fragmentation)

 A. 物体を、個々の独立した部品に分割する。

 B. 折り畳み式/組み合わせ式にする。(組立や分解を容易にするため)

 C. 分割の程度を高める。

2.除去/抽出の原理(Removal/Extraction)

 A. 不要な部分/性質を除去する。

 B. 必要な部分/性質を抽出する。

3.局所的な性質の原理(Local quality)

 A. 物体または外部の環境の構造を、均質なものから非均質なものに変える。

 B. 物体の異なる部分に、それぞれ異なった機能を付与する。

 C. 物体の各部分を、その部分の機能にとって最良の状態にする。

4.非対称の原理(Asymmetry)

 A. 物体を対称な形から非対称に変える。

 B. 物体が非対称なら、更に非対称の度合いを高める。

5.組合せの原理(Merging (Joining/Combining))

 A. 均質な物体や連続した操作を意図したものを一つに連結する。

 B. 並行処理を行う。

6.汎用性の原理(Universality)

 A. 一つの物体に異なる機能を持たせる。冗長な部分を除去する。

7.入れ子の原理(Nested structures)

 A. ある物体を他の物体の中に入れる。さらに別の物体に入れる。

 B. 物体に開いた穴の中に他の物体を通す。

8.つり合いの原理(Anti-weight (Counterweight))

 A. ある物体の重さを軽減するのに、別の物体の浮力や揚力と釣り合わせる。

 B. ある物体の重さを軽減するのに、流体力学特性を作用させる。

9.先取り反作用の法則(Preliminary anti-action (counter-action))

 A. 望ましい作用に対する反対作用を、その望ましくない作用が起こる前に起こす。

10.先取り作用の原理(Preliminary action)

 A. 望ましい作用の一部または全部を、必要になる前に仕掛けておく。

 B. 必要なときに必要な場所ですぐに作動できるように物体を構成する。

11.事前保護の原理(Beforehand cushioning (Cushion in advance))

 A. 作用を起こす前に、事故に備えて保護するものを導入することで、物体の信頼性の低さを補償する。

12.等ポテンシャルの原理(Equipotentiality)

 A. 物体が上下に動かないように作動条件/作業条件を決定する。

13.逆発想の原理(Reverse (“The other way around”))

 A. 通常決められたものと逆になる作用を行う。

 B. 本来固定している部品を動かして、可動部品を固定する。

 C. 物体を上下逆さまにする。

14.曲線/曲面の原理(Spheroidality – Curved)

 A. 直線を曲線に、平面を曲面に、直方体を球体に変更する。

 B. ローラ、ボールベアリング、ねじを利用する。

 C. 直線運動を回転運動に変更する。遠心力を利用する。

15.ダイナミック性の原理(Dynamism)

 A. どの段階でも最適な動作が可能なように、物体や外部環境を自動的に調整する。

 B. 物体が固定されている場合は可動化する。または交換可能にする。

 C. 物体をいくつかの構成要素に分割して、相対的な運動を可能にする。

16.アバウトの原理(Partial, satiated, or excessive actions)

 A. 望む効果を100%実現できない場合、100%から少し外れたところを狙って、問題を大幅に簡素化する。

17.他の次元に移行する原理(Another dimension)

 A. 直進運動をする或いは固定された物体を、二次元で考えて問題を解決する。さらに三次元で考える。物体の自由度を増す。

 B. 単一層構造の物体を複数層構造の物体に変更する。

 C. 物体を傾ける、もしくは傾斜する。

 D. 領域の反対側を使用する。

 E. 光線を反射させて物体の側面や裏側に光をあてる。

18.機械的振動の利用(Mechanical vibration)

 A. 物体を振動させる。

 B. 既に振動が存在するならば、超音波にする。

 C. 共振を利用する。

 D. 機械的振動の代わりに圧電体による振動を使う。

 E. 超音波振動と電磁波とを同時に作用させる。

19.周期的な作用の原理(Periodic action)

 A. 連続した動作を、周期的もしくは間欠的な動作に変える。(衝撃力)

 B. 既に周期的な動作の場合は、周波数を変える。

 C. 衝撃的な動作の場合は、間に小休止を置いて効果を変える。

20.有用な効果を連続する原理(Continuity of useful action (uninterrupted useful effect))

 A. 物体の全ての部品を絶えずフルパワーで動作するようにする。

 B. 遊休状態や中間の動きを無くす。

 C. 前進/後進の直線運動を回転運動に変える。

21.超高速実行の原理(Skipping (Rushing through))

 A. 有害もしくは危険な作業を超高速で行う。

22.“災い転じて福をなす”の原理(Convert harm into benefit)

 A. 有害な要因 ― 特に環境 -を用いて有用な効果を得る。

 B. 有害な要因を、別の有害な要因と組み合わせて相殺する。

 C. 有害の度合いを、有害性がなくなるまでアップさせる。

23.フィードバックの原理(Feedback)

 A. フィードバクを導入する。

 B. 既にフィードバックがあるなら、変えてみる。

24.仲介の原理(Intermediary)

 A. 作用を移したり伝えたりするのに仲介物を使用する。

 B.物体を容易に除去できる他の物体と一時的に結合する。

25.セルフサービスの原理(Self-service and self-organization)

 A. 物体が自分自身をサービス/メンテする。

 B.廃棄するはずだった材料やエネルギを活用する。

26.コピーの原理(Copying)

 A. 入手困難で、複雑、壊れやすい或いは扱いが難しい物体の代わりに、シンプルで安価なコピーを用いる。

 B.可視光のコピーを使っているならば、赤外線・紫外線に変えてみる。

 C. 実物の代わりに、コピー図や画像に置き換える。画像を拡大/縮小する効果を利用する。

27.使い捨ての原理(Inexpensive short-lived objects)

 A. 高価で長寿命な物体を、安価で寿命の短い多数の部品で置き換える。

28.機械的なシステムを置き換える原理(Mechanics substitution)

 A.機械的な効果を、光学的(視覚的)、或いは音響的(聴覚的)、におい(臭覚的)などのシステムに置き換える。

 B. 物体との相互作用に、電気的・磁気的・電磁気的な場を利用する。

 C. 場を取り換える。
  静的な場と動的な場とを取り換える。
  時間が経過するとともに固定的なものから可変な場に移行する。
  不統一な場から、統一的な場に移行する。

 D. 場を強磁性体の粉と組み合わせて使う。

29.空気圧や液圧の原理(Pneumatics and hydraulics)

 A. ある物体の固定部分を、気体もしくは液体と取り換える。空気や液体を利用して膨張させたり、空気圧や油圧、水圧により緩衝機能を持たせる。

30.薄膜の原理(Flexible shells and thin films)

 A. 従来の構造を、柔軟性のあるメンブレンもしくは薄膜を使った構造に変える、

 B. 柔軟性のあるメンブレンもしくは薄膜を使って、損傷しやすい物体を外部環境から隔離する。

31.多孔質の原理(Porous materials and membranes)

 A. 物体を多孔質素材にする。もしくは多孔質素材の要素を使う(インサートやカバーなど)。

 B. 物体がすでに多孔質ならば、その細孔を有用な物質であらかじめ埋めておく。

32.変色の原理(Color changes)

 A. 物体またはその周囲の色を変える。

 B. 物体またはその周囲の透明度を変えて見やすくする。

 C. 三重肉物体もしくはプロセスを観測するのに、着色した添加剤を用いる。

 D. 既にそのような添加剤が使われているならば、発光痕跡またはトレーサを使う。

33.均質性の原理(Homogeneity)

 A. 相互に作用する物体を同じ素材や同じ特性を持った素材で作る。

34.部品の排除/再生の原理(Discarding and recovering)

 A.ある部品がその役割を果たして既に不要になった場合、自動的に廃棄されるか消えるようにする。

 B. 消耗または減少した部分をすぐに復元、回復させる。

35.凝集状態を変える原理(Parameters and properties changes)

 A. システムの物理状態を変える。

 B. 凝集状態や密度を変える。

 C. 柔軟性の度合いを変える。

 D. 温度や体積を変える。

36.相変化の原理(Phase transitions)

 A.相変化を伴う現象を利用する。例えば体積変化、熱損失(吸収)など。

37.熱膨張の原理(Thermal expansion)

 A. 熱による膨張・収縮の利用

 B. 熱膨張係数の異なる素材を組み合わせる。

38.高濃度酸素を利用する原理(Strong oxidants)

 A. 空気を、酸素を濃縮した空気で置き換える。

 B. 濃縮空気を酸素で置き換える。

 C. 空気や酸素を電離放射線で処理する。

 D. イオン化した酸素を使う。

 E. オゾンを使う。

39.不活性雰囲気を利用する原理(Inert atmosphere)

 A. 通常の環境を不活性雰囲気や真空で置き換える。

 B. 物体に中立的な物体または添加剤を導入する。

 C. プロセスを真空で行う。

40.複合材料を利用する原理(Composite materials)

 A.均質な素材から複合材料に変更する。

参考文献
テクニック編「図解40の発明原理」  日経BP社

ORG:2019/8/30