1.2 エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の定義と分類

1.2 エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の定義と分類(Definition and Classification of Engineering Plastics)

 

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プラスチック材料は現代社会において非常に重要な役割を果たしており、様々な製品に使用されています。一口にプラスチックと言っても多種多様な種類があり、その性質や用途によって分類されます。ここでは、機械的特性、化学的特性などに優れたエンジニアリングプラスチック(エンプラ)を取り上げます。
エンジニアリングプラスチックの定義、汎用プラスチックとの違い、優れた特性、そして主要な分類について、示します。

 

Contents

1. プラスチックの基本的な分類(熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチック)

まず、プラスチックはその加熱時の挙動によって大きく二つに分類されます。それは熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックです。

(1)熱可塑性プラスチック(Thermoplastics):

熱可塑性プラスチックは、加熱すると軟らかくなり、冷却すると固まる性質を持ちます。この性質を利用して、繰り返し溶かして成形することができます。パイプ、包装材、自動車部品、家電部品など、様々な用途で利用されています。

(2)熱硬化性プラスチック(Thermosetting plastics):

熱硬化性プラスチックは、加熱すると化学反応を起こして硬化し、一度硬化すると再加熱しても軟らかくならない性質を持ちます。フェノール樹脂やメラミン樹脂、エポキシ樹脂などがあります。プリント配線基板やアイロンのハンドル、浴槽などに使用されます。

エンジニアリングプラスチックの多くは、このうち熱可塑性プラスチックに分類されます。

1.1 プラスチックとは何か(What is plastic?) も、参照してください。

 

2. エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の定義と汎用プラスチックとの違い

エンジニアリングプラスチック、通称エンプラは、汎用プラスチックに比べて高い性能と機能を持つプラスチックの総称です。いろいろな定義が考えられますが、元デュポン社の松島哲也氏(日本におけるエンプラのパイオニア)によると、「エンプラとは、自動車部品や機械部品、電気・電子部品のような工業用途に使用されるプラスチックであって、40MPa 以上の引張強さ、100℃以上の(長期)耐熱性を持つもの、または耐熱性がさらに高く150℃でも長時間使用できるものと定義されています。

(1)汎用プラスチック

汎用プラスチックは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)などに代表される、日常生活で頻繁に利用されるプラスチックです。汎用プラスチックは比較的安価で加工しやすいという特徴がありますが、耐熱性や機械的強度、耐久性などの面で限界があります。

(2)エンジニアリングプラスチック

エンジニアリングプラスチックは、これらの汎用プラスチックよりも耐熱性、機械的特性、耐薬品性、耐久性、電気特性などの物性に優れています。そのため、より高い性能が要求される用途、例えば自動車部品、電気・電子機器部品、精密機械部品などで金属やセラミックスなどの材料の代替として使用されます。エンジニアリングプラスチックは汎用プラスチックと比較すると、物性に優れる反面、価格は割高になる傾向があります。

エンジニアリングプラスチックが金属の代替として使用される背景には、プラスチックの軽量性があります。自動車分野では、プラスチックの使用が軽量化に貢献し、燃費向上に役立っています。また、製品の多様化や小型化を可能にし、製造工程の短縮や量産化によるコストダウンを実現する側面もあります。ただし、汎用プラスチックと同様に、耐久性が劣り製品寿命が短くなるという側面も指摘されています。
エンジニアリングプラスチックは、プラスチック全体の生産量に占める割合は約6%程度と多くはありませんが、その多くが自動車、電気・電子機器、OA機器といった産業分野で使用されています。

(3)スーパーエンジニアリングプラスチック

スーパーエンジニアリングプラスチックは、エンジニアリングプラスチックより、さらに耐熱性が優れており、その他の各種特性も優れていますが、一方成形条件は厳しくなります。
非晶質プラスチックとしては、PAR(ポリアリレート)、PSU(ポリスルフォン)、PES(ポリエーテルスルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)などがあり、結晶性プラスチックとしては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、FR(フッ素樹脂)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)などがあります。
ここの性質としては、別項目で述べる予定です。

 

3. エンプラに共通する優れた特性

エンジニアリングプラスチックは、汎用プラスチックと比較して様々な優れた特性を持っています。ソースで挙げられている主な特性には以下のようなものがあります:

(1)靭性(じんせい):

材料の粘り強さや破壊に対する抵抗力です。特定の複合材料、例えばガラス繊維のようなアスペクト比の大きい強化材による複合材料では、靭性が大きくなることがあります。

(2)電気絶縁性:

電気を伝えにくい性質です。ポリアセタール(POM)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)などは良好な電気特性を持ちます。特に、PBTは優れた電気特性を生かして、車載用コネクタやLED電球用ソケット、冷却ファンなどに使用されています。ポリカーボネート(PC)も電気絶縁性に優れます。

(3)透明性:

光を透過させやすい性質です。非晶性のエンジニアリングプラスチック、例えばポリカーボネート(PC)やメタクリル樹脂(PMMA;ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリル樹脂)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSU)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)などは優れた透明性を示します。PCは耐衝撃性と透明性に優れるため、照明やレンズ、DVD、医療機器、ヘルメット、自動車の樹脂ウィンドウ、スポーツ用ゴーグルなどに使用されます。

(4)成形性:

複雑な形状に加工しやすい性質です。m-PPEやPA、PC、ABS樹脂などは成形性に優れます。スーパーエンプラの中では液晶ポリマー(LCP)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などが成形性に優れます。ただし、スーパーエンプラは汎用エンプラよりも成形条件が厳しくなる傾向があります。

(5)耐摩耗性:

摩擦による材料の損耗に対する抵抗力です。結晶性のPA、POM、PBT、強化PET、PPS、FR、PEEK、LCPなどは耐摩擦・摩耗性に優れています。特にPOMやPBTは摩擦摩耗特性に優れ、歯車やベアリング、摺動部品などに使用されます。ポリアミドイミド(PAI)も優れたしゅう動性により、ベアリングやシールリング、スラストワッシャなどに使用されます。摩擦係数や摩耗量は、応力やすべり速度、組み合わせ材料、摩擦面粗度、潤滑油の有無など様々な要因によって影響を受けます。

(6)可燃性・不燃性:

燃えやすさ、燃えにくさに関する性質です。多くのエンジニアリングプラスチックは難燃性が要求される用途に使用されます。PC、m-PPE、PBT、強化PET、FR、PPS、LCP、PAR、PSU、PES、PEEK、PEI、PAI、TPIなどのエンプラは、優れたまたは良好な難燃性を示します。難燃化のために添加剤が使用されることもあります。

(7)耐候性:

屋外での使用や光、雨風などに対する劣化のし難さです。FR(フッ素樹脂)のPVF(ポリフッ化ビニル)フィルムなどは抜群の耐候性を示し、太陽電池のバックシートなどに使用されます。PCは耐候性に注意が必要で、自動車の樹脂ウィンドウなど屋外用途では表面コーティングが施されます。PSUやPESなどは耐候性に劣る場合があります。

(8)機械的特性:

引張強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃強さなど、力に対する材料の機械的特性を示す特性です。エンジニアリングプラスチックは汎用プラスチックよりも機械的特性に優れます。特に複合系の熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂の中ではLCP(液晶ポリマー)系の材料が高い値を示す傾向があります。ガラス繊維などで強化されたグレードはさらに強度が高くなります。ただし、プラスチックの機械的特性、特に曲げ特性は周囲の温度や湿度条件によって著しく影響を受け、温度上昇につれて低下する傾向があります。

(9)荷重たわみ温度:

ある荷重をかけた状態で温度を上昇させたときに、材料がたわみ始める温度です。非晶性プラスチックは荷重たわみ温度を超えると大変形を起こしますが、結晶性プラスチックは寸法収縮を起こすものの大きい変形はないため、両者で物理的な意味が異なり、データ利用上の注意が必要です。

(10)疲れ強さ:

繰り返し荷重に対する耐久性を示す指標です。プラスチックの疲れ強さは炭素鋼で観察されるのとは異なり、一般に107~108回の繰り返し荷重でもS-N曲線(応力と破断までの繰り返し回数の関係を示す曲線)が平衡状態になることは無いため、便宜的に106~107回での疲れ強さの値が表示されます。

(11)耐薬品性:

酸、アルカリ、溶剤などの化学物質に対する抵抗力です。結晶性のPA、POM、PBT、強化PET、PPS、FR、PEEK、LCPなどは耐溶剤性に優れます。POMは耐有機薬品性は良好ですが、硝酸、塩酸、硫酸などの強酸には侵されます。PAは化学構造上、耐煮沸水性や耐アルカリ性に注意が必要です。エステル結合を持つPBT、強化PET、PC、PARなども耐煮沸水性や耐アルカリ性に注意が必要です。一方、SO基を持つPSUやPESなどは耐煮沸水性に非常に優れます。FR(フッ素樹脂)は優れた耐薬品性を示し、医療用配管器具やシリコンウエハキャリアなどに使用されます。SPSは耐薬品性を持ち、センサハウジングなどに使用されます。

(12)吸水性:

水分を吸収する性質です。PAは化学構造上、吸水性が大きく、吸水により寸法や物性が大きく変化します。一方、POMやPBTは吸水性が少ないプラスチックです。

(13)寸法安定性:

温度や湿度などの環境変化、あるいは時間の経過による寸法の変化のしにくさです。PCやm-PPE、非晶性のPAR、PSU、PES、PEIなどは寸法安定性に優れます。SPSも寸法精度に優れます。PAIやTPIも優れた寸法安定性や寸法精度を持ちます。

(14)比重:

同じ体積あたりの重さです。非強化品の場合、m-PPEが1.0台、PAが1.1台、PCが1.2台、PBTが1.3台、POMが1.4台となります。スーパーエンプラでは、PAR, PSU, PEIが1.2台、PEEK, PES, TPIが1.3台、PAIが1.4台、FRでは2.0を超えるものもあります。SPSは低比重です。材料の軽量性は自動車部品などで燃費向上に貢献します。

 

4. 汎用エンプラとスーパーエンプラの分類と代表例

プラスチックは、汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチックに大別されます。さらに、エンジニアリングプラスチックは、その耐熱性や性能レベルによって「汎用エンプラ」と「スーパーエンプラ(特殊エンプラ)」に分類されます。ここでは、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック、およびスーパーエンジニアリングプラスチック、それぞれについて概述します。

4.1 汎用プラスチック

汎用プラスチックは、熱を加えて柔らかくなり、再び冷やして固めることができる熱可塑性プラスチックのうち、主として経済性の観点から分類される材料です。国内で生産されるプラスチックの85%前後は、熱可塑性プラスチックですが、汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ、およびスーパーエンプラ)に大別されます。
特に、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)は、「四大汎用プラスチック」と呼ばれ、プラスチック生産量の70%以上を占めています。
以下に、一般に汎用プラスチックと呼ばれる主要な材料について、特徴と用途例の概要を示します。

(1)ポリエチレン(PE:polyethylene):

・ 特徴:
  / 熱可塑性プラスチックの一種です。低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)に大別されます。
  / ポリオレフィン系樹脂です。
  / 比較的無害とされますが、原料の発火・爆発の恐れ、製造プロセスでの有害物質発生(PAH、ダイオキシン)、焼却時の揮発性化合物発生の可能性があります。
・ 用途例:
  / 大量生産向きの材料です。
  / 日用品(洗面器やバケツなど)、家電製品、および食品容器包装材などに使用されます。
  / ウインドサーフィンのボードにも使用されます。
  / 押出成形やブロー成形(中空形成)により、フィルム、シート、チューブ、パイプ、被覆製品、容器などが生産されます。

(2)ポリプロピレン((PP:polypropylene):

・ 特徴:
  / 熱可塑性プラスチックの一種です。一度固化したものを再び加熱溶融すれば再成形が可能です。
  / 押出成形、射出成型などの様々な方法で成形されます。
  / 隣接する分子と多くの点で接しているため分子間力が強く、分子がはぎ取られにくいため、耐摩耗性が高い材料です。
  / 結晶性の熱可塑性プラスチックです。非結晶性のものより耐摩耗性に優れています。
  / 軽量性、成形性、成形収縮率などが比較的優れています。
  / 耐煮沸水性、耐溶剤性、耐候性などはあまり良好でないと評価されています。
・ 用途例:
  / 大量生産に向く材料です。
  / 洗面器やバケツなどの日用品、家電製品や食品容器包装材、食品トレーなどに使用されます。
  / ウインドサーフィンのボードにも使用されます。
  / 小容量のリチウムイオン電池のハウジングにPPEとのブレンドで使用されることがあります。
  / PPEとPPのポリマーアロイとして、自動車部品、食品包装容器、電動工具のハウジングなどの用途があります。

(3)ポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl chloride):

・ 特徴:
  / 熱可塑性プラスチックの一種です。
  / 射出成形や押出成形などで加工されます。
  / 柔軟性を持たせるために可塑剤が、劣化を抑えるために安定剤など、多種多様な添加剤が必要となります。
  / 可塑剤(フタル酸エステル類など)や安定剤(ビスフェノールAなど)の溶出、環境ホルモンの疑い、安全性に関する問題が指摘されています。
  / 焼却時に腐食性の強い塩化水素やダイオキシンなど様々な有害ガスが発生する危険性があります。
  / リサイクルが非常に難しい材料です。多くの自治体で「適正処理困難物」とみなされています。
・ 用途例:
  / 塩ビパイプや塩ビ電気コードにも使用されます。
  / おもちゃ、文具、医療器具(医療用手袋、チューブ、カテーテル、人工透析、血液バックなど)、食品用途、車内・室内部品などに広く使用されてきましたが、安全性から代替の必要性が指摘されています。
  / 押出成形の代表的な製品にパイプがあります。洗濯機についている蛇腹のあるパイプも押出成形で作れます。

(4)ポリスチレン(PS:Polystyrene):

・ 特徴:
  / 熱可塑性プラスチックの一種です。
  / GPPS(汎用ポリスチレン)は非結晶性ですが、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)のような結晶性のものも開発されています。
  / GPPSは透明性のよいプラスチックです。メタクリル樹脂には及びませんが、可視光線透過率は厚み2.5mmで88~90%程度です。
  / GPPSは吸水率が小さいです。
  / 耐候性はメタクリル樹脂や塩化ビニル樹脂には及びませんが、良好です。
  / 優れた電気絶縁材であり、誘電特性も優れています。
  / GPPSは衝撃強さが小さいという弱点があります。
  / 有機溶剤に侵害されやすく、ソルベントクラックを起こすことがあります。
  / ベンゼンとエチレンから合成されます。原料(ベンゼン、ブタジエン、スチレン)に発がん性の疑いがあります。
  / 添加剤は塩ビよりもはるかに少なく、最終製品は不活性と見なされます。
  / スチレン2量体・3量体(ダイマー、トリマー)の溶出、発がん性の疑われるスチレンモノマーの溶出、燃焼時の有害ガス発生(ベンゼン、スチレン、フェノールなど)などの問題が指摘されています。
  / 高いエネルギー消費量を必要とすること、リサイクル性の低さ、火災の危険性などの理由で、塩ビの長期的な代替材料として適切ではない可能性が指摘されています。
・ 用途例:
  / 食品トレーに使用されます。一五パックや卵パックの代替としても使用されます。
  / 家庭用電気製品(テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機など)に多用されています。透明性が活かされた照明器具もあります。
  / 包装用分野では、2軸延伸フィルムによる食品包装や、射出成形による飲料容器、冷菓用カップなどがあります。食品トレーに使用されます。いちごパックや卵パックの代替としても使用されます。
  / 雑貨分野では、家庭用品、玩具、文具、事務用品など日常生活に密接に関係するものに多く使用されています。
  / 発泡用分野では、食品包装用トレー・カップ・丼が多数あり、発泡断熱材や硬質製品(カップ、一部の玩具など)にも使われます。

(5)ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂:ABS resin):

・ 特徴:
  / アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)の3成分からなる非結晶性プラスチックです。ブレンド法やグラフト法で作られます。
  / 熱可塑性プラスチックの一種です。
  / 機械部品用としての代表的材料で
  / AS樹脂とブタジエン系ゴムとの組み合わせ・混合により、硬くて、しかも衝撃に対して強いという特長を持っています。
  / ABSの特徴の一つは衝撃強さが大きいことですが、ブタジエンの量が多くなるほどアイゾット衝撃強さの値は大きくなります。しかし、配向しやすいプラスチックの一つであるため、アイゾット衝撃強さの大きいグレードが多軸衝撃強さも大きいとは限りません。
  / 着色性が良く、表面光沢にも優れ、射出成形性や押出成形性が良いです。
  / 耐摩耗性が高い材料です。
  / 直射日光下に長時間放置すると劣化することがあります。
  / 耐薬品性、耐候性などはあまり良好でないと評価されています。
  / アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンなどの有害化学物質を使用します。特にアクリロニトリルは毒性が強く、発がん性が疑われる物質として分類されます。
  / リサイクルが非常に難しい材料です。
・ 用途例:
  / 自動車部品、各種電気製品、日用品など比較的製品寿命の長い用途に広く使われています。
  / パイプ、車のバンパー、玩具などの硬質プラスチック製品に使われます。
  / PCとABSのポリマーアロイとして、自動車の外装・外板部品、家電製品、OA機器のハウジングなどの用途があります。

(6)AS樹脂(SAN樹脂)

・ 特徴:
  / アクリロニトリルとスチレンの共重合体(SAN樹脂ともいう)です。組成はアクリロニトリルが30%(重量比率)ほど含まれています。
  / ポリスチレンより優れた耐化学薬品性、耐熱性を有し、表面が傷つきにくいという特長があります。荷重たわみ温度は90℃を越えます。
  / GPPSより耐薬品性は良好です。
  / 耐候性が良好で、自動車のレンズなどに使用されます。
  / 可視光線透過率は厚み2.5mmのとき80~88%程度です。
  / 吸水率は0.2~0.3%と、GPPSやHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)に比べて約10倍大きいです。
  / 製造時にスチレン、アクリロニトリルなどの有害化学物質が発生する可能性があります。
・ 用途例:
  / 食品関連分野にも幅広く使用されます。
  / 冷蔵庫低温ケース、肉皿、ウォータークーラー部品、ジューサー、コーヒーメーカー部品等の家庭電器製品や日用雑貨類に使用されています。扇風機羽根、バッテリケースにも使用されます。
  / 耐候性の良さを活かして、自動車のレンズなどに使用されます。

(7)メタクリル樹脂(PMMA:Methyl methacrylate resin)

・ 特徴:
  / アクリル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂とも呼ばれています。
  / 無色透明な液体のメチルメタクリレートが主原料です。
  / 無色透明な熱可塑性樹脂で硬く、ガラスに匹敵する透明度や高い屈折率を持ち、「有機ガラス」や「プラスチックの女王」とも呼ばれます。
  / GPPSやAS樹脂よりも透明性が優れています。
  / 耐候性は、GPPSや塩化ビニル樹脂には及びませんが、良好です。
・ 用途例:
  / 光学特性を活かし、レンズ材や、プラスチック光ファイバー、安全ガラス、車のテールやメーターパネル、看板、自動販売機前面カバーなどに使用されます。
  / 食品用としては、サラダボール、シュガーポット等の器具が主体です。
  / 近年は、液晶バックライト用導光板やメタクリル樹脂浴槽などの用途が普及しています。

(8)ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate):

・ 特徴:
  / 熱可塑性樹脂の一種です。
  / エチレングリコールとジメチルテレフタレートから合成されます。
  / 製造時に目と呼吸器に刺激を与える物質を使います。
  / リサイクルが難しい材料です。油化リサイクルでは酸素が障害になるとされています。
  / 強化PETとして汎用エンプラに分類されることもあります。
・ 用途例:
  / 包装材に広く使われます。
  / 卵パックの代替として使用されます。食品包装フィルムの複合素材としても使用されます。
  / 掃除機のモータファンガイドに従来使われていた材料の一つです。

 

4.2 汎用エンプラ

5大汎用エンプラと呼ばれる代表的なものとして、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)があります。これらに加えて、強化ポリエチレンテレフタレート(強化PET)や超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)なども汎用エンプラに分類される場合があります。
これらの汎用エンプラは、汎用熱可塑性プラスチックに比べて耐熱性、機械的特性、その他の物性に優れています。

(1)ポリカーボネート(PC:Polycarbonate):

・ 特徴:
  / 熱可塑性プラスチックに分類される、非晶性樹脂です。
  / 耐衝撃性はプラスチック中最高クラス(アクリルの40倍、普通ガラスの400倍、強化ガラス100倍)です。
  / 透明性が高く(光の透過率90±1 %)、耐熱性、耐寒性に優れています。
  / 寸法安定性、無毒性、難燃性、電気絶縁性に優れています。
  / エステル結合を有するため、高温高湿度の環境下で加水分解します。
  / 薬品耐久性はあまりよくありません。特にアルカリ剤、溶剤では劣化します。
  / 紫外線で劣化します。
・ 用途例:
  / 多くの工業用途に適用されます。例えば、照明、レンズ、DVD、医療機器、ヘルメット、自動車の樹脂ウィンドウ(耐候性と耐擦傷性の対策として表面コーティングを実施)、スポーツ用ゴーグル、実験用保護眼鏡。人工腎臓のハウジング(透明性、安全性、蒸気・γ線殺菌が可能)、OA機器、電気・電子部品、水周り部品、カメラ関連用途。食品保存容器などに適用されます。
・ 供給メーカー:
  / 三菱エンジニアリングプラスチックス、帝人、出光興産、住化スタイロンポリカーボネート、SABICイノベイティブプラスチックス、コベストロ(旧バイエル)。

(2)ポリアミド(PA:Polyamide):

・ 特徴:
  / 熱可塑性プラスチックに分類される、非晶性樹脂です。
  / 一般的な名称は、ナイロンです。種類が多く(PA6, PA66, PA11, PA12, PA46, PA6T, PA9Tなど)、原料によって脂肪族と半芳香族に分類されます。
  / 熱的性質により、汎用系(融点約220~250℃)、LCPA(融点約180~200℃)、HTPA(融点295℃以上)に分類されます。
  / 機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐摩擦・摩耗性に優れます。
  / 化学構造上、吸水性が大きく、吸水により寸法、物性が大きく変化します。
  / MCナイロンは注型法で作られ、機械的強度、耐久性・耐熱性、耐摩耗性、自己潤滑性にすぐれますが、強酸には侵されます。
・ 用途例:
  / 自動車部品(インテークマニホールド、ホイールキャップ、フェンダーなど)。家電部品、容器。電気・電子機器部品。産業機械部品。食品用フィルム、釣り糸(一般的にナイロンが広く使用される)、自転車部品、スポーツ・レジャー用品、電線被覆。燃料チューブ(PA12とFRの二層構造で使用)、リチウムイオン電池周辺部品。掃除機のモータファンガイド(代替材料としてSPSが使用される以前)などに使用されます。
・ 供給メーカー:
  / 旭化成ケミカルズ、宇部興産、東レ、東洋紡、ユニチカ、三菱エンジニアリングプラスチックス、三井化学、クラレ、デュポン、ビーエーエスエフ、ランクセス、DSMエンジニアリングプラスチックス、エムス・ケミージャパン、アルケマ、ダイセルエボニック、ソルベイアドバンストポリマー。MCナイロンはクオドラントポリペンコ、タキロン、三ツ星ベルト、利昌工業など、多くの企業から供給されます。

(3)ポリアセタール(POM:Polyacetal):

・ 特徴:
  / 結晶性ポリマーです。ホモポリマーとコポリマーとがあります。
  / 機械特性に優れ、摩擦・摩耗特性、耐薬品性などの物性バランスが良好で、成形性にも優れています。
  / 吸水性が少なく、耐油性、耐有機薬品性が良好で、溶解する溶剤はほとんどありませんが、硝酸、塩酸、硫酸などの強酸類には侵されます。
  / プラスチックの中で最高の耐疲労性、広い環境下での優れた耐クリープ性、優れた耐摩擦摩耗特性を持ちます。長期の機械的性質に優れた素材です。
  / 汎用的な機械部品用素材となります。ジュラコン、デルリンという商標名でも知られています。
・ 用途例:
  / 自動車部品(ワイパーモータシステムギア、パワースライドドアシステム部品、ドアハンドル、ドアロック、シフトレバー、燃料タンクフランジなど)。家電部品(DATデッキ、各種プレーヤー、電子レンジ部品、洗濯槽かくはん用プロペラなど)。OA機器部品(プリンタ・複写機のギア、コピー機ベアリング)。住宅関連部品(カーテンフック、アルミサッシ固定板、トイレ周辺機器部品など)。その他機械部品(ポンプ部品、カメラ機能部品、各種歯車、ベアリング、トルクリミッタ、自転車部品など)など、多くの工業用途に適用されます。。
・ 供給メーカー:
  /ポリプラスチックス、旭化成ケミカルズ、三菱エンジニアリングプラスチックス、デュポン、ビーエーエスエフジャパンなどから供給されています。
  / ジュラコンはポリプラスチックス株式会社の登録商標です。

(4)変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE:Modified polyphenylene ether):

・ 特徴:
  / 非晶性のPPE(ポリフェニレンエーテル)に成形性が良好なスチレン系樹脂です、PA、PPなどをブレンドして製造されるポリマーアロイに適用されます。
  / 耐熱性、力学的性質、電気的性質に優れています。
  / 寸法特性、強靭性に優れています。
  / PPEとPSは任意の比率で完全相溶するため、ブレンド比により幅広い耐熱性グレードが可能です。
  / PPEとPAのアロイは、PPEの欠点である耐薬品性、成形性を改良し、無荷重下の熱変形が小さくなります。
・ 用途例:
  / OA機器部品(各種事務機器のシャーシなどの内部構造部品)、電気・電子・家電部品(TVハウジング、コイルボビン、エアコン・加湿器ハウジング、太陽電池ジャンクションボックス、ICトレイなど)、自動車部品(インパネ、スポイラー、ルーバー、ホイールキャップ、フェンダー、EV用リチウムイオン電池ハウジングなど)、その他機械分野(給湯器部品、各種ポンプ部品、耐温水・耐圧力用樹脂製タンクなど)、プロジェクターハウジング(耐熱性、難燃性、寸法精度)、太陽電池ジャンクションボックス(長期耐熱性、難燃性、耐加水分解性、耐候性、電気特性、低温衝撃性)、リチウムイオン電池ハウジング(耐アルカリ性、成形性、機械的強度)などの、機械的強度が要求される用途に適用されます。
・ 供給メーカー:
  / SABICイノベイティブプラスチックス、旭化成ケミカルズ、三菱エンジニアリングプラスチックス。

(5)ポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate):

・ 特徴:
  / 結晶性ポリマーで、テレフタル酸と1,4-ジブチレングリコールを原料とします。
  / 電気特性、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、摩擦摩耗特性などのバランスが非常に優れています。
  / 成形性に優れ、吸湿性は低いです。
  / エステル結合を有するため、耐煮沸水性、耐アルカリ性に注意が必要です。耐加水分解性が十分ではない場合があり、改良グレードが使用されます。
・ 用途例:
  / 自動車部品(イグニッションコイル、ワイヤーハーネスコネクタ、各種スイッチ類、ECUケース、アクティブセーフティーシステム、EV用電源コネクタなど)、電気・電子部品(各種コネクタ、ソケット、リレーケース、コイルボビン、LED電球用ソケット、冷却ファンなど)、機械部品(時計部品、カメラ部品、複写機カバー、ガス・水道用部品、自転車駆動部品など)、押出成形分野(フィルム、モノフィラメント、医療パックなど)、車載用コネクタ(電気特性、耐熱性、耐薬品性、寸法特性、成形性)、アクティブセーフティーシステムのハウジング(電気特性、耐熱性、耐薬品性、寸法特性)、LED電球用ソケット、冷却ファン、プラスチックカップリング(電気特性、耐熱性、難燃性、寸法特性、しゅう動性、低吸湿性)、電気部品など、多くの用途に適用されます。
・ 供給メーカー:
  / ポリプラスチックス、東レ、三菱エンジニアリングプラスチックス、SABICイノベーティブプラスチックスジャパン、東洋紡、デュポン、ビーエーエスエフジャパン、ランクセス。

(6)強化ポリエチレンテレフタレート(GF-PET:Grass Fiber Reinforced Polyethylene Terephthalate):

・ 特徴:
  / PET(ポリエチレンテレフタレート)を、ガラス繊維で強化したものです。
  / 耐溶剤性、耐摩擦・摩耗性に優れます。
  / エステル結合を有するため、耐煮沸水性、耐アルカリ性はよくありません。
  / 寸法安定性に優れます。
・ 用途:
  / ボトル。掃除機のモータファンガイド(代替材料としてSPSが使用される以前)。電子機器パーツ、美容熱器具、開閉機、端子類、自動車外板、機構部品、電装品、家電熱器具ハウジング、包装容器、照明配線器具に適用されます。これらの用途のうち、電子機器/電子部品分野では寸法精度、強度、難燃性が要求され、自動車分野では高剛性と軽量化が求められます。
  / 自動車分野では機構部品向けの耐久性に優れたグレード、電子部品分野ではノンハロ難燃グレードなどの開発も盛んに行われています。

(7)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE:Ultra-high molecular weight polyethylene):

・ 特徴:
  / ポリエチレンの一種で、特に分子量の高いものをいいます。
・ 用途:
  / パイプ、包装材、ガソリンタンクなどポリエチレンの用途に加え、耐摩耗性などが要求される用途。

 

4.3 スーパーエンプラ

スーパーエンプラは、汎用エンプラよりもさらに高性能なエンジニアリングプラスチックです。一般的には、「汎用エンプラよりもさらに耐熱性が高く150度以上の高温でも長期間使用できるもの」と定義されています。
特殊エンプラとも呼ばれます。
代表的なスーパーエンプラとして、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、フッ素樹脂(FR)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)などが挙げられます。
これらの材料は、高い耐熱性に加えて、機械的特性、耐薬品性、耐摩擦・摩耗性、寸法安定性、電気特性などの多くの物性で非常に優れた性能を示します。
しかし、汎用エンプラよりも価格がさらに高く、成形条件も厳しくなる傾向があります。

(1)ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylene Sulfide):

・ 特徴:
  / 結晶性樹脂です。
  / 耐溶剤性、耐摩擦・摩耗性に優れます。また、耐熱性、電気特性、機械的強度などに優れています。
  / 成形性にも優れています。
・ 用途:
  / 自動車分野(ECUケース、圧力センサハウジング、インバータ部品、パワーモジュール、モータ用ブラッシュホルダーなど)、電気・電子分野(パワーコネクタ、光ピックアップスライドベース、LEDランプソケット、IC部品、コイルボビンなど)、機械分野(熱水ポンプ部品、産業用インバータ主回路一体端子台、バルブ、流量計ハウジングなど)、その他(フィルム、繊維、めっき製品など)、産業用インバータ主回路一体端子台(電気特性、耐熱性、機械的強度)、センサハウジング(代替材料としてSPSが使用される以前)に適用されます。
・ 供給メーカー:
  / 東レ、DIC、クレハ、東ソー、ポリプラスチックス、旭硝子、帝人、出光ライオンコンポジット、東洋紡。

(2)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Polyetheretherketone)

・ 特徴:
  / 結晶性樹脂です。カルボニル基とエーテル基が連結した構造になります。
  / 高耐熱性、高機械的強度、高しゅう動性、耐薬品性、耐放射線性、電気的絶縁性などに優れた特性を持ち、成形性にも優れています
・ 用途:
  / 自動車、電気・電子、宇宙・航空、IC製造現場、医療機器分野。資源発掘関連の電線被覆材。シリコンウエハキャリア(ウェハサイズの大型化に伴い、高強度のPEEKが使用されるようになりました)。

(3)液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)

・ 特徴:
  / 結晶性ポリマーです。独特な分子構造により、溶融状態で液晶性を示します。
  / 優れた機械的性質、耐熱性、耐溶剤性、耐摩擦・摩耗性を持ちます。特に熱可塑性樹脂の中では、引張強さ、曲げ強さで複合系の熱硬化性樹脂に次いで高い値を示します。成形性に優れます。
・ 用途:
  / 高い機械的強度と耐熱性を活かして、コネクタ、ソケットなどの電気・電子部品に適用されます。

(4)ポリアリレート(PAR:Polyarylate)

・ 特徴:
  / 非晶性樹脂です。
  / 透明性、強靭性、寸法安定性に優れます。
  / エステル結合を持つため、耐煮沸水性、耐アルカリ性に劣ります。
  / 音響特性、振動疲労強度に優れる。
  / 耐熱性をさらに高めた新規PARも開発されています。
・ 用途:
  / 自動車分野(メータカバー類、ランプハウジングなど)、機械・精密分野(カメラの鏡筒、ギア、ポンプケーシングなど)、電気・電子分野(蛍光ランプ口金・ホルダー、各種スイッチ、ソケット類、LEDライプリフレクタ、スピーカー振動板など)、医療分野(目薬容器、医療容器ケースなど)、携帯電話カメラレンズホルダー(低発煙性、真円度、高耐熱)、スピーカー振動板(音響特性、耐熱性、振動疲労強度)など、広く適用されます。
・ 供給メーカー:
  / ユニチカ

(5)ポリスルフォン(PSU:Polysulfone)

・ 特徴:
  / 非晶性樹脂です。透明性、強靭性、寸法安定性に優れます。
  / SO基を持つため、耐煮沸水性に非常に優れる一方、耐候性に劣ります。
・ 用途:
  / 容器、医療器具、電気部品などに適用されます。

(6)ポリエーテルスルホン(PES:Polyethersulfone)

・ 特徴:
  / 非晶性樹脂です。透明性、強靭性、寸法安定性に優れます。
  / SO基を持つため、耐煮沸水性に非常に優れる一方、耐候性に劣ります。
  / 耐熱性、寸法安定性、機械的強度、耐クリープ性などに優れます。また、耐薬品性も優れます。
・ 用途:
  / バーンインソケット(耐熱性、寸法精度・安定性)、ベアリングリテーナ、ギア(耐熱性、寸法安定性、機械的強度、耐クリープ性、しゅう動性)、メンブレンフィルタ(水処理機械、耐熱性、耐薬品性、強度)、カメラレンズの鏡筒(CF強化グレード、寸法精度・安定性、機械的強度)などに適用されます。
・ 供給メーカー:
  / 住友化学、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン、BASFジャパン。

(7)ポリエーテルイミド(PEI:Polyetherimide)

・ 特徴:
  / 非晶性樹脂です。透明性、強靭性、寸法安定性に優れています。
  / 耐熱性、寸法精度などに優れています。
・ 用途:
  / バーンインソケット(耐熱性、寸法精度・安定性)。ICトレイ、コネクタなど。

(8)ポリアミドイミド(PAI:Polyamideimide)

・ 特徴:
  / 非晶性樹脂です。
  / 高い強度と伸び、耐薬品性を有します。強靭性、熱特性、しゅう動性に優れています。
  / 耐疲労性、高剛性、寸法安定性、耐クリープ性に優れています。
  / 射出成形が可能です。
・ 用途:
  / 自動車部品、電子部品、ファスナー(輸送機器、高い強度と伸び、耐薬品性)、シールリング、スラストワッシャ(輸送機器、強靭性、熱特性、耐薬品性、しゅう動性)、ベアリング(産業機械、高PV値、しゅう動性、機械特性)、搬送用ベルト(産業機械、耐疲労性、高強度・剛性、寸法安定性、耐薬品性、耐クリープ性)、各種ギア(産業機械、高い機械的強度、耐疲労性、高強度・剛性、寸法安定性、耐薬品性、耐クリープ性)などに適用されます。
・ 供給メーカー:
  / ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン、三菱ガス化学。

(9)熱可塑性ポリイミド(TPI:Thermoplastic polyimide):

・ 特徴:
  / 熱可塑性ポリイミドです。
  / 耐熱性、寸法精度に優れています。
  / 耐クリープ性、耐摩耗性、耐放射線性に優れています。
・ 用途:
  / バーンインソケット(耐熱性、寸法精度・安定性)、シリコンウエハキャリア(大型化に伴い、高強度のTPIが使用されるようになった)、光ピックアップキャリッジ(電気・電子、耐熱性、寸法精度)、スラストワッシャ(産業機械、耐クリープ性、耐摩耗性、耐熱性)、ヨウ素サンプラ(産業機械、耐熱性、耐放射線性)などに適用されます。
・ 供給メーカー:
  / 三井化学、SABICジャパン合同会社。

(10)フッ素樹脂(FR:Fluororesin)

・ 特徴:
  / 結晶性樹脂です。多くの種類がありますので特性は範囲で示されます。
  / 耐溶剤性、耐摩擦・摩耗性に優れています。非常に優れた耐候性を持つ種類があります。
  / 優れた耐薬品性、生体適合性、衛生性(外部から汚染されない純粋性)、低摩擦性、非粘着性を持つ種類があります。
・ 用途:
  / 自動車部品(燃料チューブ、ETFEを使用)、医療用配管器具(PFAを使用、耐薬品性、生体適合性、衛生性、低摩擦性)、シリコンウエハキャリア(PFAを使用、耐熱性、耐薬品性、衛生性、強度、非粘着性)、釣り糸(PVDFを使用、透明性が良好、屈折率が水に近い、比重が重い)、太陽電池のバックシート(PVFフィルムを使用、耐候性が抜群に優れる)などに適用されます。
・ 供給メーカー:
  / ダイキン工業、三井デュポンフロロケミカル、旭硝子、クレハ。

(11)シンジオタクチックポリスチレン(SPS:Syndiotactic polystyrene):

・ 特徴:
  / 結晶性樹脂です。一般的なポリスチレン(PS)は非晶性ですが、SPSはシンジオタクチック構造を持ち結晶性。低比重、耐加水分解性、良成形性、良電気特性に加え、耐熱性、耐薬品性に優れています。
  / 寸法精度(平面度)に優れます。
・ 用途:
  / 自動車分野(ソレノイバルブ、コネクタ、センサハウジングなど、耐薬品性、耐熱性、軽量化)、家電(乾燥洗濯機ヒータポンプ部品、IH炊飯器内フタ、掃除機モータファンガイドなど、耐熱性、軽量化、寸法精度)、電気・電子(コイル封止、センサ封止、モータケース、メモリカードコネクタ、光ピックアップレンズホルダなど、低比重・高比剛性化、応答性能向上)、その他(住設機器、インペラ、箸、レンゲ、電子レンジ調理鍋など、耐熱性、耐スチーム性、耐薬品性)。箸(食洗機使用に耐える耐熱性、耐スチーム性、耐薬品性)などに適用されます。
・ 供給メーカー:
  / 出光興産。

エンジニアリングプラスチックは、汎用プラスチックの限界を超える多様な高性能を発揮し、現代の産業分野に不可欠な材料となっています。汎用エンプラとスーパーエンプラは、それぞれ異なる耐熱性と性能レベルを持ち、要求される用途に応じて適切に使い分けられています。

 

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参考文献
エンジニアリングの基礎知識  安田武夫:安田ポリマーリサーチ研究所 (株)イプロス 初版2016年 
Plastics Technology Handbook Fourth Edition Manas Chanda, Salil K. Roy CRC Press 2007年
Plastics Materials and Processes A Concise Encyclopedia Charles A. Harper, Edward M. Petrie Wiley-Interscience 2003年
Handbook of Plastics Technologies  Charles A. Harper McGraw-Hill 2006年
Handbook of Plastc Foams types、Properties, Manufacture and Applications  Arthur H. Landrock Noyes Pubrications 1995年
エンジニアリングプラスチック -実用設計とそのポイント- 機械設計 Vol.22 No.10 1978年
機械部品としてエンジニアリングプラスチックはどこまで使えるか 機械設計 Vol.25 No.5 1981年
プラスチックの基礎を学ぶ  MONOWEB (株)RE 2016年

 

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