5.2 微視(ミクロ)的な破面形態(Microscopic fracture surface form)

5.2 微視(ミクロ)的な破面形態(Microscopic fracture surface form)

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部材の破断面をマクロ的に観察することは、4.1項でも述べたように、破壊の原因を速やかに特定して、必要に応じて暫定的な対策を行ったり、再発防止を速やかに行うためにも必要です。

一方、ミクロ的な観察も、破壊までの過程や、破壊に至る機構などを検討するのに、必要十分なデータを収集するために重要です。マクロ観察では、破壊の原因や機構を誤認する場合があり、より正確に破壊について知見を得るためにはミクロ的な観察が必要です。

ミクロ観察には、従来から電子顕微鏡が用いられてきました。透過型顕微鏡(TEM)でレプリカ法により多くの知見が得られてきていましたが、直接破面の観察が可能で三次元的な凹凸の判別もし易く、マクロ観察程度の低倍率での観察も可能なため、マクロ観察結果との比較もしやすいために、走査型電子顕微鏡(SEM)の普及により、破面観察用として定着しています。なお、この破断面をミクロ的に観察する方法をフラクトグラフィ(fractography)的手法と呼ばれます。

電子顕微鏡によりミクロ的に観察される破面の状態を分類する方法は色々ありますが、ここでは破壊が使用中に発生するのか、製造時に発生しているかの区分による分類を示します(図5.2.1)。

図5.2.1 微視的な破面形態の分類例

 

参考文献
100事例でわかる 機械部品の疲労破壊・破断面の見方  藤木榮 日刊工業新聞社
フラクトグラフィとその応用   小寺沢良一   日刊工業新聞社

引用図表
[図5.2.1] 微視的な破面形態の分類例       機械部品の疲労破壊・破断面の見方参考

 

ORG: 2018/2/2