CASE 25 航空機エンジンのカルダン軸の破損

CASE 25 航空機エンジンのカルダン軸の破損( Failure of a Cardon Shaft )

 

 

 

まとめ

航空機エンジンのカルダン軸が使用不能になりました。 調査の結果、ねじり過負荷によりシャフトが破損したことが判明しました。

 

背景

航空機エンジンの故障したカルダン軸は、その故障の原因を見つけるために調査されました。

 

破損状況の目視検査

受け取った状態で破損したシャフトを図 CH25.1 に示します。 シャフトは矢印の位置で横方向に折損しました。 破面は、破断後にかなりの摩擦を受けたため、滑らかな状態になっていました。

 

試験手順と結果

破面はこすれていたにもかかわらず、SEMで観察すると、破面には特定の巨視的および微視的特徴が識別できました。 図 CH25.2 は、破断面の 1 つにおける全体的な特徴の SEM破面写真です。 破面の表面は平坦で、変形跡はありましたが、せん断リップはありませんでした。 最終的な破断領域はシャフト断面の中心部にありました。

SEMでは、せん断過負荷に典型的な、摩擦痕を伴う細長いディンプルが破断面の周囲に見られました (図 CH25.3)。 最終的な破壊の領域に対応する中心部には、等軸のディンプルが見られました (図 CH25.4)。

 

化学分析

SEMでの EDAX分析により、シャフトが 12% Cr、1.5% Ni 鋼で作られていることが示されました。

 

硬さ

シャフトの硬さは、336HV(34HRC)でした。

 

金属組織

シャフト材料の金属組織は、焼き戻しマルテンサイトでした。

 

議論

シャフトの破面特徴は、ねじり破損を明確に示しています。 ボールエンドのユニバーサルリンクには、一方向のねじり荷重の証拠として摩耗痕が見られました。

 

結論

観察された損傷の特徴から、カルダン軸はねじり過負荷により破損したと結論付けられます。

 

推奨

ねじり過負荷を確認できましたので、過負荷の原因を特定する必要があります。 このシャフトの駆動端を詳細に調べる必要があります。

図 CH25.1 破損箇所を示す破損したシャフト

図 CH25.2 ねじり過負荷の典型的な特徴を示す SEMフラクトグラフィ

図 CH25.3 破断面周辺部に見られる擦れ跡を伴う細長いディンプル

図 CH25.4 最終破壊領域に対応するシャフトの中心に見られる等軸ディンプル

 

元文献
“Failure Analysis of Engineering Structures: Methodology and Case Histories” 2005

 

ORG:2023/10/05