2.2.3 ベルヌーイの式(Bernoulli’s equation)

2.2.3 ベルヌーイの式(Bernoulli’s equation)

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図2.2.3.1に示すように、流線に沿って、微小流体要素を仮定してその部分の運動方程式を求めましょう。

図2.2.3.1 微小流体要素に作用する力

微小流体要素に作用する流線方向についての力は、

   (式2.2.3.1)

で表されます。

第3項は、流体要素の側面に作用する圧力による成分です。第4項は、流体要素の質量による成分です。

また、下記の関係が成り立ちますので、

式2.2.3.1にこれらの関係を代入して、さらに微小項を省略すると、次式のようになります。

        (式2.2.3.2)

 

 

この力により、微小流体要素(質量:  )が加速度  を受けると考えると、 

ニュートンの第2法則から、式2.2.3.3 が成り立ちます。

    (式2.2.3.3)

この式は、オイラーの運動方程式(Euler’s equation of motion) と呼ばれるものです。

(a) 定常流れで非圧縮性流体の場合

        (式2.2.3.4)

この式を、流線に沿って、s1からs2まで積分すると、                  

    (式2.2.3.5)

この式を、ベルヌーイの式(Bernouulli’s equation)といいます。式の導出過程からもわかるように、
ベルヌーイの式が成立する条件は、次の3つです。

(1)非粘性(損失が無い)
(2)定常流れ
(3)非圧縮性流体

ベルヌーイの式は、エネルギー方程式になります。式2.2.3.5に、単位質量m=1を乗じると、エネルギーの式になります。

          (式2.2.3.6)

ここで、
V2/2:単位質量の運動エネルギー (M2L2T-2)
gz :単位質量の位置エネルギー (M2L2T-2)
p/ρ :単位質量の圧力をpまで高めるのに要するエネルギー (M2L2T-2)

これを水頭(L)で表すと、

      (式2.2.3.7)

水頭は、単位重量当たりのエネルギーを表します。油圧よりも、ターボ機械の分野でよく使われます。

ここで、
V2/2g : 速度水頭(velocity head)
p/γ   : 圧力水頭(pressure head)
z    : 位置水頭(potential head)
H    : 全水頭(total head)

図2.2.3.2に水頭で表した流れのエネルギーについて説明しています。

図2.2.3.2 管路内の水頭

(管路が水平)の場合には、ベルヌーイの式は、次式で表されます。この場合は単位体積当たりのエネルギーを表しています。

           (式2.2.3.8)

ここで、
ρV2 : 動圧(dynamic pressure)
p   : 静圧(static pressure)
P  : 全圧(total pressure)

また、V=0となる点は、よどみ点(stagnation point)といいます。また、この点の圧力をよどみ点圧力(stagnation pressure)といいます。

(b) 定常流で圧縮性流体の場合

式2.2.3.4 を流線に沿って、s1からs2まで積分すると、 

     (式2.2.3.9)

が示されます。

この式で、圧縮性流体は、通常は密度が低い気体なので、位置のエネルギーを示す、2項は無視できます。また、状態の変化が、ほとんどの気体に適用されるポリトロープ変化の場合、

    (式2.2.3.10)

になるので、

    (式2.2.3.11)

または、次式が成立します。

    (式2.2.3.12)

 

 

 

 

参考文献
流体機械工学演習  前田照行  学献社

引用図表
[図2.2.3.1] 微小流体要素に作用する力 流体機械工学演習
[図2.5.3.2] 管路内の水頭      流体機械工学演習

 

ORG: 2018/2/25