2.4.3 作動油の粘度の影響

2.4.3 作動油の粘度の影響(effect of viscosity of hydraulic fluid)

スポンサーリンク

 

作動油の粘度は、ポンプなどの動機器の摺動部の摩耗や漏れ、また効率などに影響を与えます。

油圧回路において、作動油の粘度が大きすぎる場合、管摩擦損失が増加して動力損失や熱の発生の原因となります。また、キャビテーションの発生を招くことがあります。一方、粘度が小さすぎると、ポンプや弁、配管などの内部漏れや、外部漏れが生じやすくなります。さらにはポンプの効率を下げたり、油圧回路に必要な圧力を発生させることができず、正確な作動に支障をきたす場合もあります。

そのため、作動油の粘度は油圧回路、特にポンプなどの動機器に適したものを選択する必要があります。
基本的には、ポンプメーカが推奨する作動油を使用すればよいと考えます。ただ、ポンプはその種別により、運転に最適な動粘度の範囲がありますので、使用条件(暑熱)などを考慮して、運転中に最適な温度範囲になるように選定します。

別項で詳しく述べますが、作動油の粘度は温度により著しく変化します(2重対数)。そのため、粘度を要求される範囲内に保持し、作動油の熱による劣化や、機器に熱変形によるひずみが発生しないようにすることも含めて、油温はできるだけ一定に保持する必要があります。油温として適当な温度範囲は、30~55℃といわれています。

例として各種油圧ポンプの適正粘度範囲について下図に示します(図2.4.3.1)。

図2.4.3.1 各種油圧ポンプの適正粘度範囲

 

 

 

参考文献
油圧教本 増補改訂版 日刊工業新聞社
例解演習・油圧工学   日刊工業新聞社

引用図表
  [表2.4.3.1] 各種油圧ポンプの適正粘度範囲    日本石油(現JXTG)作動油解説パンフレット

 

ORG: 2018/2/12