2.5.1 層流と乱流

2.5.1 層流と乱流(laminar flow and turbulence)

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管内を流れる流体は、粘性のため流体の内部摩擦や管壁との摩擦が原因となり、エネルギを失い圧力の損失を起こします。

管内の流れは、大きく分けて層流と乱流に分けられます。層流は規則正しい整然とした流れとなります。乱流は不規則な複雑な流れになります(図2.5.1.1)。

層流は、流体の動粘度が大きく、流速が小さく、細い管や狭い隙間を通過する流れになります。層流の場合には、流体の粘性抵抗だけが圧力損失の原因になります。油圧の場合は、作動油の動粘度が大きく、特に狭い隙間の流れなどは層流として流れている場合が多いと考えられます。

乱流は、流体の動粘度が小さく、流速が大きく、太い管を流れる場合の流れになります。流れが乱流になると流体の摩擦抵抗が大きくなります。その理由は、流体内部の粘性抵抗に加えて、管の内壁の粗さに関係した抵抗損失も付加されるためです。

流れの状態が、層流か乱流かを判断するための無次元数として、レイノルズ数(Reynolds’ number)が用いられます。レイノルズ数は、1883年にイギリスの Osborne Reynolds が発見しました(図2.5.1.2)。

円管の場合のレイノルズ数の定義は次式で示されます。

   (式2.5.1.1)

ここで、

Re:レイノルズ数(-)
v:管内平均流速(m/s)
ν:流体の動粘度(m2/s)
d:管内径(m)
Q:流量(m3/s)

となります。

円管内の流れでは、レイノルズ数がおおよそ2000以下では層流域に、3000以上は乱流域になります。この中間のRe=2000~3000領域を遷移域といいます。また、層流から乱流へ変化する、或いは乱流から層流へ変化するときのレイノルズ数を臨界レイノルズ数といいます。これらの臨界レイノルズ数は差異があります(ヒシテリシスを持っています)。

油圧回路では、作動油の動粘度が比較的大きいので、回路内の流れが乱流か層流かを検討する必要があります。一般に使用される油圧回路内の最高流速を、表2.5.1.3 に示します。

また、式2.5.1.1に定義する、レイノルズ数は円管の場合ですので、管路の形状によって定義が異なります。異形管の場合は水力平均深さを用いて求めることが出来ます。

 

 

 

 

参考文献
油圧教本 増補改訂版 日刊工業新聞社
例解演習・油圧工学   日刊工業新聞社
疑問に答える機械の油圧(下)  技術評論社

 

引用図表
  [図2.5.1.1] 円管路内の層流、遷移流、乱流    CCL
  [図2.5.1.2] レイノルズの実験   CCL
  [表2.5.1.3] 油圧回路内の最高流速   油圧教本、疑問に答える機械の油圧より

 

 

Add: 2020/10/08
ORG: 2018/2/13