2.12 音の強さのレベル

2.12 音の強さのレベル

物理量としては、音圧または音の強さが基本的なものになりますが、設備などで騒音の問題を考える場合は、通常は音の強さのレベルまたは音圧レベルを用います。
音の強さのレベルや音圧レベルは、音の強さや音圧が形を変えただけのものです。

音の強さのレベルの定義を次に示します。
ある周波数の音の強さを、J (W/m2)とします。また、音の強さの基準値となるものを、J0 (W/m2)とします。音の強さのレベルL1は、次の式で定義されます。

daum_equation_1441447464852      ・・・  2.12.1

単位は、前に係数10をつけていますので、dBです。
J0は、通常の聴力の人が聞くことのできる最小可聴値として、通常は10-12 (W/m2)を用いることが、国際的に決められています。

2.12.1式は次の根拠に基づいて決められています。
Weber-Fechner の法則(ウェーバー・フェフィナーの法則)によると、感覚量は、外界の刺激量の対数に比例します。
音の強さをJ、音の大きさをL、比例定数をKとすると、次の関係が成り立ちます。

daum_equation_1441447548503                     ・・・ 2.12.2

また、最小可聴値をJ0、そのときの音の大きさをL0とすると、

daum_equation_1441447586592                  ・・・ 2.12.3

が成り立ちます。

2.12.2、2.12.3式の差を取ると、

daum_equation_1441449562061

となりますが、ここでL0は0と考えてよいので、

daum_equation_1441448123647                 ・・・ 2.12.4

となります。

音の問題の研究の先駆者ベル(Alexander Graham Bell)は、Kの値としてもっとも簡単な数値1を採用し、音の強さのレベルの単位としてBel(ベル)と決めました。

daum_equation_1441449599303 (Bel)

が定義されます。

音の強さの範囲は、2.11項で述べました様に、10-12~10 (W/m2)の広い範囲にわたっています。これをレベル尺度で記述すると対数で計算することになり、0ベルから13ベルまでの13段階であらわすことができます。

しかし、この尺度では大まか過ぎるということで、ベルの1/10の尺度としてデシベル尺度が用いられます。ここでdが1/10の意味があります。

ベルをデシベルに変換するには、2.12.2式のKを10にすればよろしいです。

すなわち、

daum_equation_1441449616644

を、音の強さのレベルと定義することができます。

dB尺度を用いることにより、音の強さの範囲はおおよそ、0dB~130dBの範囲になり、音の強さの1dBの変化は通常の聴力を持った人が、差を識別できる音の強さの変化の最小値(弁別域)にほぼ相当することになり、騒音を考えるのに便利です。