2.15 騒音スペクトル ものづくり、 ひとづくり
2.15 騒音スペクトル
前項までは、主として単一周波数成分と考えられる純音である正弦波の波について考えてきました。しかし、実際の音は純音であることはまれで、ほとんどの音は色々な時間変化をしている色々な周波数成分の音からなる複合音です。例えば、ポンプの運転中に発生しているキーンというような音が考えられます。
このような音については、騒音特有の表現の仕方が決められています。
音を表示する場合、一般には横軸に周波数を、縦軸に音圧レベルを取って表示します。
単一周波数成分しか含まない場合は、その周波数成分の音圧レベルを用いて、図2.15.1(A)のように表示することができます。複合音の場合は、その音を構成する周波数成分ごとに音圧レベルをプロットして、図2.15.1(B)のように表します。周波数成分に分解するのは、フーリエ展開等の手法によります。
このように、音を周波数成分ごとに音圧レベルで表示したものを、騒音スペクトルといいます。
通常の騒音問題では、横軸の周波数を、ある幅の周波数バンドに分割して、その周波数バンドごとに、そのバンド内の音圧レベルをプロットして表わします。図2.15.1(C)に示すように、周波数バンドがf1~f2 (Hz)の範囲の音圧レベルは何dB、f2~f3 (Hz)の場合は何dB.....という風に表示します。但し実際は、バンド幅を代表させる方法として、f1~f2、f2~f3のようにそのバンドの両端の周波数を用いるのではなく、バンドの中心周波数 foi (i=1~n)で代表させて、図2.15.1(D)に示すように表示します。
このバンドの両端の周波数は、遮断周波数、或いは切断周波数と呼ばれます。中心周波数は遮断周波数の幾何平均値として求められます。
中心周波数は、そのバンドの遮断周波数fi,fi+1をを用いて、
でも止められます。この値は、対数尺度で考えた場合のfiとfi+1 (Hz)との中間の周波数になります。