1.化学装置の分類

C.化学装置の設計

 

1.化学装置の分類(Classification of chemical equipment)

お断り:本稿は、松居先生の「タンクの設計」(パワー社)の記述に基づいています。この本は、溶接構造のターボポンプでラグを取り付けた構造のものを始めて設計する際に購入して読みました。化学プラントの機器設計の考え方について、得るところが非常に大きな本でした。

化学装置は広い意味で容器と言えます。化学物質が容器の中で或いは容器を移動しながら、化学的・物理的な処理を受けて、形を変えて我々の生活に役立つ化学工業製品や、その中間生成品に変換される装置です。

この化学装置については、色々な分類の仕方があります。ここでは松居先生が示された分類により記述を進めます。

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1.1 操作対象物質に注目する分類

化学装置は、原料となる化学物質も、生成物も形態としては、固体、液体、気体の3態の何れかになります。もちろん単相の場合もありますし、複相になる場合もあります。このように取扱物質の性質により以下のように分類することが出来ます。

図1.1 操作対象物質による分類

2相系以上の物質を取り扱う場合、対象とする相系の特性に加えて、各相それぞれの相における特性についても検討する必要があります。例えば、スクラバーは粉塵を含む排ガスや有害ガスの処理のために用いられます。スクラバーは固-気-液3相系の処理装置に相当しますが、被処理物質としては、気相の排ガス・有害ガスの特性と、固相としての粉塵特性の両者について検討する必要があります。また、処理物質の液体(多くは水)の特性についての考慮が必要です。

 

1.2 操作の特性に注目する分類

処理される化学物質が化学的変化を受ける操作を反応操作といい、その単位となる反応を単位反応といいます。

一方、処理される物質が、単に形状や、位置、相変化などの物理的な変化を受ける操作を物理操作といい、その単位となる操作を単位操作といいます。

このように、化学的変化と物理的変化のそれぞれの操作の特性によって、化学装置を分類したものを図1.2に示します。

図1.2 操作の特性に注目した分類

 

1.3 形状に注目する分類

化学装置を容器として考えると、その形状によって塔、槽、管に分類されます。

図1.3形状に注目した分類

塔は、よく目立つのは石油精製での蒸留塔ですが、これを含めて直立型円筒形胴の形式が一番多く使用されています。操作目的は多種多様であるので、適合する内部構造をとります。

槽については、装置外槽と装置内槽に大別されます。
装置外槽とは、物質を比較的長期に貯蔵するために、製造工程外に設けられる容器をいいます。装置内槽とは、製造工程中に含まれる物質の一時的な短期の貯蔵に用いられ、気液分離や水分分離などの目的のも用いられる容器をいいます。場合によっては容器の内臓物としてヒータなどの加熱装置を持つ場合もあります。

管に分類されるものとしては、配管と管形熱交換器とがあります。

塔、槽、管は、何れも容器に分類されます。これらの強度設計は、内圧容器、外圧容器として本体容器としての強度設計と、容器を支持する支持構造の強度設計とに分けられます。

 

1.4 化学機械

化学プラントを形成する構成要素の内、可動部のある機器を化学機械と定義します。可動部分の無い蒸留塔や反応塔、吸収塔などは化学装置として区別して考えます。
化学機械については、以下のように分類します。

図1.4化学機械の分類

 

 

 

 

参考文献
タンクの設計  松居國夫   パワー社

 

引用図表
図1.1 操作対象物質による分類   出典(参考)タンクの設計
図1.2 操作の特性に注目した分類   出典(参考)タンクの設計
図1.3形状に注目した分類     出典(参考)タンクの設計
図1.4化学機械の分類       出典(参考)タンクの設計

 

ORG:2020/8/6