Ⅳ 1.1 塑性加工の特徴

1.1塑性加工の特徴(features of plastic working)

 

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1.機械部品の製造方法

機械部品の製造方法は、大きく分けて3つに分類されます(参照:加工方法の分類)。

除去加工:切削加工、砥粒加工、放電加工、レーザ加工、エッチングなど
成形加工:鋳造、鍛造、プレス成形、粉末冶金、プラスチック成形など
付加加工:溶接、溶射、めっき、CVD、PVDなど

塑性加工は、成形加工に分類されます。型を用いて素材に弾性限度以上の応力を付加して永久変形を起こさせて、材料の塑性を利用して、要求される寸法・形状に成形する加工法です。

 

 

2.塑性加工の特徴

塑性加工は板、線、棒、管、形材などの素材の製造に利用されます(一次加工)。さらにこれらの素材は、さらに鍛造、転造、押出し、プレス加工などの塑性加工(二次加工)を行い、様々な製品を造り出します。

塑性加工は、材料の組織と機械的性質を改善します。また、塑性加工は、工具として型やロールを用いるので、高速で高度の再現性をもって同一寸法の製品を大量に生産する加工法として適しています。
さらに、成形する際に切りくずを出さないので、省資源、省エネルギーの加工法と言えます。

 

塑性加工の特徴をまとめると、

(1)大量生産に向いています。塑性加工は、機械装置や型を用意して、一度寸法設定を行うと高速で同一形状の製品を生産できます。逆に少量生産の場合は機械装置や型の準備・交換に時間と費用が掛かりあまり向いていません。
(トヨタは、ホワイトボディのプレス加工の方交換をシングル段取りすることで、多品種少量の平準化生産を実行しています)。

(2)製品寸法の精度が良くばらつきが少ない。塑性加工は、同じ型に機械力で金属を強制的に変形させるので、型が摩耗しない限り同じ製品ができます。

(3)材料に歩留まりが良い。切削加工が削り屑を大量に発生するのに比較して、材料が製品になり割合が大きいです。

(4)加工品重量と素材重量が一致します。塑性加工は加工前後で、質量または体積が増減しません。

(5)金属の強度が増加します。熱間加工では、金属内部の空隙が押しつぶされたり、大きい介在物や結晶粒が微細化されます。さらに繊維組織が連続します。

(6)金属の特性が改善されます。冷間加工すると加工硬化を起こして、金属は元の状態より硬く強くなります。

(7)新しい性能を付加することができます。塑性加工の方法や熱処理と塑性加工との組合せで、金属の結晶粒を微細化し、強度とじん性が向上します。

 

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参考文献
機械工学便覧 6th ed β03-04章
得とき「塑性加工」基礎のきそ   町田輝史、古閑伸裕  日刊工業新聞社 2008年

 

 

ORG:2021/08/23