5.1 潤滑油の作用

5.1 潤滑油の作用(Action of lubricating oil)

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潤滑油の役割は、機械の相対的に運動する個所をを潤滑することにより、摩擦を小さくして、焼付きや摩耗を防ぐとともに動力の消費を少なくして、機械効率を上昇させることにあります。

 

具体的には、次のような作用が要求されます。

(1)摩擦の低減作用:相対運動をする2面間に油膜を形成させて、摩擦を低下させます。

(2)摩耗の低減作用:相対運動をする2面間が直接接触することを防いで、摩耗の低減や焼付き防止を図ります。例えば、内燃機関ではピストンとシリンダとの気密のためにピストンリングをシリンダに取り付けていますが、ピストンリングとシリンダとの間に油膜を形成することにより摩耗や焼付きを防止しています(図5.1.1)。

図5,1,1 ピストンリングによる油膜の保持

(3)冷却作用:摩擦により発生する熱(摩擦熱)を持ち去って、焼付きを防止します。内燃機関をれにすれば、燃焼室の温度が2000~3000℃と高温になりますが、潤滑油であるエンジンオイルがエンジン内を循環することにより発生熱を吸収・発散して、冷却する作用があります(図5.1.2)。

図5.1.2 エンジンオイルによる冷却作用

(4)密閉作用:内燃機関のシリンダとピストンとの間に油膜が形成されますが、この油膜により燃焼ガスの吹き抜けを防止します。

(5)密封作用:グリースは、潤滑時は増ちょう剤中に分散されている潤滑油基油が染み出すことにより潤滑しますが、グリースは半固体状のため外部から異物が侵入するのを防ぐ効果があります。

(6)防錆作用:潤滑油が金属表面に吸着することにより、発錆を防ぎます。内燃機関を例にすれば、燃焼によって発生する水分や材料に悪影響を与える有毒ガスからエンジンを保護する役割をします。

(7)洗浄作用:潤滑油の粘性により、侵入した異物を摺動面から外部に押し出す作用をします。

(8)清浄分散作用:内燃機関ではエンジン内部で不完全燃焼時に発生する煤や、稼働中に発生するスラッジ、金属摩耗粉などのエンジンに悪影響を与える汚れや不純物を洗い流すことにより、清浄に保持します。

 

 

 

 

参考文献
トライボロジー入門

 

引用図表
図5.1.1 ピストンリングの摩耗低減  不明
図5.1.2 エンジン内部の部位別温度  不明

 

 

ORG:2018/6/24