6.1.3 グリースによる潤滑方法

6.1.3 グリースによる潤滑方法(Grease lubrication method)

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1.潤滑方法

グリースによる潤滑方法について、玉川大学(2007年当時)の似内先生がジュンツウネットに21で解説されている、給油・給脂法についての解説記事に沿って記述していきます。

給脂法は、大きく非補給式と補給式とに分類されます。それぞれの方式について種類を示します(表6.1.3.1)。元の記事では、ここに記載の方法以外の種類の記述や、選定に大きく影響する設備費や保全費、労務費などについても比較しており、ぜひ訪問してください。

表6.1.3.1 給脂法の種別

表6.1.3.1に示した各種給脂法で、代表的なものについて要点を示します。
非補給式は、小型機器に使用される転がり軸受に適用されることが多いです。一般には組込まれた機器の寿命よりグリースの寿命の方が長いので、軸受を交換することはまずありません。補給式は機力式や集中式以外は機器も安価で使いやすい方法です。

1.1 非補給式給脂法

表にも示したように、比較的軽負荷の転がり軸受の密封軸受がこの方式の代表例になります。軸受軌道輪の両側(もしくは⽚側)を、合成ゴム製のシールあるいは⾦属製のシールドで覆って、密封空間にグリースを詰め込むタイプの給脂法です(図6.1.3.2)。

図6.1.3.2 シールド軸受(非補給式給脂法)

 

1.2 補給式給脂法

(1)手詰め
グリースを充填した軸受は、運転中に大部分のグリースが軸受箱内に排出されます。従って潤滑にかかわるグリースは極めて少量になりますが、グリース潤滑の場合運転条件が極端に過負荷でない限り、潤滑に必要なグリースは極めて少量でよく、その方が摩擦が少なく、温度上昇も低く安定します。グリースが過充填されると軸受内から軸受箱部への排出が十分行われず、チャーニング現象を起こして軸受の温度上昇を高めて、グリースが早期に変質するばかりでなく、抵抗が増えることは動力損失を大きくします。そのため、グリースの過充填は絶対に避ける必要があります。

しかしいくら少量でもよいと言っても、安定的に連続して潤滑出来るだけの量を確保する必要があり、グリースを安定的に必要な量が軸受に供給される軸受箱の構造を考える必要があります。

グリースの適正な封入量は、経験上軸受と軸受箱の空間に対して1/3程度の体積量であるといわれています。

(2)グリースガン
一般的な機器、例えば大形の電動機等にはグリースニップルが取り付けられており、定期的な間隔で基本的には運転中に給脂します。

(3)集中給脂法
グリースポンプに分配弁を組み合わせて多数個所にそれぞれの最適量を休止するシステムです。製鉄所などの大型設備や大型プレスなどの多数個所に給脂する必要がある設備に広く用いられます。

 

2.給脂法の選定

グリース潤滑の給脂法についても、潤滑油の給油法と同様、その選定は使⽤される部位の運転条件(温度条件(使⽤温度)、速度条件(使⽤回転数)、環境条件(雰囲気)など)により行われます。
また大型の機械に適用される機力給脂法や集中給脂法では給脂個所が多いため、比較的流動性の高い(軟らかい)グリースを適用する傾向があります。

 

 

 

参考文献
トライボロジー入門  岡本純三他  幸書房
給油・給脂⽅法の種類と特徴    ジュンツウネット21  https://www.juntsu.co.jp/tribology-doc/feature-lubricator.php
潤滑故障例とその対策   日本潤滑学会編   養賢堂

 

引用図表
表6.1.3.1 給脂法の分類  給油・給脂⽅法の種類と特徴    ジュンツウネット21_参考
図6.1.3.2 シールド玉軸受   NTNカタログより

 

ORG:2019/6/28