7.1 ペトロフの式

7.1 ペトロフの式(Petroff  equation)

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ペトロフ(N. Petroff)は、極めて軽負荷での円筒すべり軸受の摩擦力を、ニュートンの粘性の式から誘導しました(1883年)、

図7.1.1は、軸と軸受が同心状態で軸が回転して、隙間が全周にわたって一様になる程度の、極めて軽荷重の場合を示します。
軸が定回転速度で回転すると、隙間cの中の流体は、軸に接する流体は速度V、軸受に接する流体は停止状態になります。

図7.1.1(a) ペトロフの滑り軸受の解析

図7.1.1(b) 軸受内の流れ

 

相対する面が平面の場合は、(式7.1.1)が成立します。

   (式7.1.1)

二面間が曲面であったり、流体内に圧力差があると流速が直線状に変化しません。このような場合を考慮して、隙間の微小厚さdyの層について上下面で速度差dvがある場合、単位面積に作用するせん断による抵抗力はせん断応力τとなりますので、ニュートンの粘性の式は一般的な関係式で示すと、

    (式7.1.2)

になります。

これより、軸受全体に作用する摩擦力F は、

      (式7.1.3)

になります。更に粘性摩擦トルクTf を求めると、

  (式7.1.4)

更に、 であること、また、なので

  (式7.1.5)

 

一方、軸受内部の流体による摩擦係数をμとすると、軸を回転させるのに必要なトルクTjは、

    (式7.1.6)

で表されます。

更に、投影軸受面積DLにおける平均軸受圧力をpmとすると。

     (式7.1.7)

となるので、軸回転トルクはWを消去すると

    (式7.1.8)

とすると、軸受の摩擦係数μは次式で表されます。

    (式7.1.9)

これらの式を、ペトロフの式といいます。

ペトロフの式では、軸受内の流体の運動による圧力の発生は考慮されていません。しかし、摩擦に関しては、高速軽荷重の場合には実際とよく一致します。

 

 

 

参考文献
トライボロジー入門  岡本純三他  幸書房

引用図表
図7.1.1(a) ペトロフの滑り軸受の解析   トライボロジー入門
図7.1.1(b) 軸受内の流れ   インターネット資料

 

ORG:2019/7/7