1.2 接合法の分類

welded joint picture by Pixabay

1.2 接合法の分類(classification of joining methods)

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一般に材料どうしを接合する方法は大きく4種類に分類されます。

(1)機械的締結(mechanical joining)
(2)接着(adhesive bonding):化学的結合
(3)ろう接(brazing and soldering):液相・固相接合
(4)溶接(welding):材質的結合

 

これらの内、本項では材料自身を変化させる溶接((4)項)と材料表面のみを変化させるろう付け・はんだ付け((3)項)について、その原理を図1.2.1 に示します。これらの原理は、いずれも接合を阻害する要因である接合面の酸化膜や凹凸を除去する方法です。

図1.2.1 溶接・接合法の分類

1.融接法(fusion welding)

融接は、材料に高エネルギー(主として熱として)を付加して、接合面を溶融することにより阻害要因を除去する方法です。付加される高エネルギーにより、調質された材料組織を溶融したり、固相の状態を維持していても高温加熱により組織の粗大化が生じ、材料の劣化を招くことになりますが、接合の度合は比較的良好です。

2.固相接合法(solid state welding, solid state bonding)

固相接合は、基本的には接合部を固相のままで接合する方法です。固相中で接合する材料の原子を拡散させることにより接合を行う方法のため、一般に長時間状態を保持する必要があります。

材料表面の酸化皮膜は接合を阻害するため、酸化皮膜の破壊や接合界面の凹凸を押しつぶすことにより接合界面を拡張するために、材料どうしを押し付ける加圧力を大きくしたり、超音波を印加することによって接合を促進することがあります。

3.ろう接(brazing and soldering)

ろう接は、ろう付け、はんだ付けを表す総称的な言葉です。母材の融点より低い温度で溶ける溶加材(ろう,はんだ)を接合部に溶融添加して、母材表面を濡らして溶加材を固化することにより接合する方法と定義されます。

ろう付けとはんだ付けとは、用いる溶加材の融点によって区別されます。溶加材の融点が728K(450℃)以上の場合をろう付けといい,728K(450℃)以下の場合をはんだ付けといいます。

ろう接は、金属の接合法としては最も古くから用いられてきた技術です。接合部に母材より低融点の金属をあらかじめ挿入して加熱・溶融させるか、接合部の外側から溶けた低融点金属を添加して、濡れと毛管現象によって接合部隙間に入り込んで接合する、最も単純な物理的現象を利用しています。ただ、狭い隙間にろうを流れ込ませるためには、母材をろうの融点より高い温度に加熱しておくことが重要で、ろうが母材に濡れるための必須条件です。

ろう付けの最大の長所は、母材がほとんど溶融しないので寸法精度が良好で、ひずみが少ないなどで、薄板の接合や精密な接合ができることであす。また、濡れることにより、ろうが母材の狭い隙間に入り込むので、複雑な形状で、接合部が多数箇所あるものの接合が容易なので、自動化や大量生産に適しています。
一方、母材はほとんど溶融しないので、ろう及びろう付け条件の選択を適正にすれば、特殊な材料や異種材料の接合が融接に比べて容易です。さらに、母材とろうとは融点が異なり、再加熱することにより接合部を切り離すことが可能です。また施工時に、直接目視出来ない箇所やトーチ、溶加棒が届かない箇所の接合、及び気密性の高い接合や広い面積の接合も容易にできるなどの特徴があります。

 

これらの接合法について、その原理を図1.2.2に示します。

図1.2.2 溶接・接合法の原理

 

本入門では、主として溶接について、記述していきたいと考えています。

 

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引用文献
機械工学便覧 6th ed. ɤ03-03章  日本機械学会

 

引用図表
図1.2.1 溶接・接合法の分類   機械工学便覧 一部改
図1.2.2 溶接・接合法の原理   機械工学便覧 参考

 

ORG:2020/11/18