キーワード辞典 サ行

キーワード辞典:サ行

 

サブゼロ処理:(熱処理用語)SAB

焼入れした鋼中には、残留オーステナイト(10~30%程度)が存在しています。この残留オーステナイトは、置狂いや置割れ等の経時変形の原因となります。また硬さの低下もきたします。残留オーステナイトをマルテンサイトに変態させ、硬さの向上と経時変形を防止する目的で、0℃以下に冷却保持する処理をサブゼロ処理(sub-zero treatment)といいます。深冷処理ともいいます。
寒剤には、ドライアイス、液化炭酸ガス、液体窒素などが用いられます。ドライアイスとアルコール(メチルアルコール、エチルアルコールのどちらも使用されます)の場合で 約-80℃、液化炭酸ガスで -130℃、液体窒素で -196℃まで冷却することができます。
-80℃程度までのサブゼロ処理を普通サブゼロ、-130℃以下の温度でのサブゼロ処理を超サブゼロといいます。処理温度が低い方が耐摩耗性向上に効果があります。
処理時間は、その温度まで低下してから30分程度保持すれば良く、保持後は空冷でもよいですが、水中か湯中に投入する方が良好といわれています。この方法はアップヒル クエンチング(uphill quenching)と呼ばれています。
サブゼロ処理後は、通常の焼戻しが必要です。

残留オーステナイト:(熱処理用語)ZAN

焼入れによってオーステナイトからマルテンサイトへの変態が完全に行なわれない場合、オーステナイトは一部常温で残留します。これを残留オーステナイトといい、置狂いや置割れ等の経時変形や、硬さの低下の原因となります。残留オーステナイトの量は、通常 10~30%程度存在するといわれています。

 

時効: (熱処理用語)JIK

急冷処理、冷間加工などを行った後、時間の経過に伴い鋼やアルミニウムなどの性質(例えば硬さなど)が変化する現象をいいます。時効を目的とする焼入時効処理、ひずみ時効処理などがあります。

 ショットピーニング

  → リンク先: ショットピーニング(shot peening

真空熱処理:(熱処理用語)SIN

鋼の加熱中、表面の酸化を防ぐ熱処理方法を総称して”無酸化熱処理”といいます。ここで取り上げる、もっともポピュラーな真空熱処理の他に、ソルトバス熱処理、窒素ガス雰囲気での加熱処理などがあります。
熱処理炉から、各種の真空ポンプを使用して脱気しながら電熱で加熱昇温しますが、極端な高真空(10-5Pa未満)にすると、高温になるにつれ鋼中から合金元素が抜けてしまう現象が生じます。このため、低真空(100Pa以下)または中真空(0.1~100Pa)の脱気状態で加熱するか、加熱時の熱効率を高めるために、脱気しながら微量の窒素ガスを流して光輝状態を保つ方法が主流です。
また、冷却の際は大量の窒素ガスで冷却する装置を用いる場合が多く、高価な熱処理方法になります。
ただ 品物が大きくなると窒素ガス冷却では冷却速度が遅いために熱処理後の機械的性質が劣ってしまう場合も考えられます。早い冷却速度を必要とする場合には、ガスによる冷却ではなく、油浴や塩浴(ソルトバス)を用いて冷却する方法を検討する必要があります。
見栄えの良さから”真空熱処理”が最も優れた無酸化熱処理と考えるのではなく、無酸化熱処理の主たる目的が、鋼の表面性状を維持することにあることを最優先に考えることが必要です。

 

水力平均深さ(hydraulic mean depth)

円形断面以外の直管の断面の管摩擦による圧力損失を求める際に、代表寸法として求められる数値
        → リンク先: 水力平均深さ

ストライエーション(striation)

ストライエーションは、疲労破壊を特徴づけるミクロ的フラクトグラフィの様相として観察されます。断続的な変動荷重を受ける場合に生じます。 ストライエーションは繰返し荷重の1サイクルごとに形成されます。ストライエーションの間隔とき裂の進展距離を測ることにより、繰返し荷重のサイクルを知ることができます。     → リンク先: ビーチマークとストライエーション

 

セメンタイト(cementite)

炭化鉄(Fe3C)のことをいいます。非常に硬くて脆く、磁性を持っています。
 → リンク先: 鋼のミクロ組織

 

ソルバイト(sorbite)

マルテンサイトを500~600℃で焼もどししたときに得られる組織です。トルースタイトより軟らかく、また、マルテンサイトほど硬くも、もろくもなく、パーライトよりは硬くて強靭で、衝撃抵抗が大きいです。
 → リンク先: 鋼のミクロ組織

 

 

ORG:2016/1/31
REV:2019/3/9