電動機の種類と特徴

電動機の種類と特徴
(Types and characteristics of electric motors)

 

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1. 電動機の種類

電動機は大きく分けて、交流電動機と直流電動機とに分類されます(図1)。

図1 電動機の種類  出典:兵神装備 エンジニアズブック技術データ集vol.19

 

2. 主要な電動機の特徴

(1)交流電動機と直流電動機、それぞれの特徴

 a)交流電動機:直流電動機と比較して、構造が簡単で安価、保守、点検も容易です。大容量化、高圧化の要求への対応も優れている。

 b)直流電動機:速度制御の精度が交流電動機よりも優れています。

 c)ただし、サイリスタ、パワートランジスタ等の半導体技術が向上しているため、速度制御の面では、交流、直流の優劣はあまりありません。例えば、ポンプ用の電動機は、交流電動機が大勢を占め、速度制御が必要な場合インバータとの組合せが多く用いられています。

 

(2)誘導電動機

誘導電動機は、各種電動機の内最も広く普及しています。回転子の構造により、かご形誘導電動機と巻線形誘導電動機に分類されます。

 a)かご形誘導電動機:
  ・構造が最も簡単で、堅牢であり運転特性が良好です、

  ・全電圧始動時、定格電流の5 ~ 8倍の始動電流が流れるため、電源容量などの始動条件が問題となることがあります。電源容量に余裕が鳴場合、スターデルタ始動、リアクトル指導などで指導を行う必要があります。

  ・電源容量が十分であれば、全電圧始動が経済性上もっとも優れています。

  ・速度制御は、汎用インバータで非常に容易です。汎用インバータ駆動は、初期は始動トルク、低周波数運転時のトルクなどに難がありましたが、最近はSンサレスベクトル制御の導入や、インバータ専用定トルク電動機が開発により改善が進んでいます。現在残された主要な課題は、高周波対策と言われています。

  ・インバータ専用定トルク電動機は、定トルクでの連続運転範囲を6 ~ 60Hz程度まで可能にしたもので、汎用電動機の場合、インバータ駆動では30Hz以下の連続運転ではトルク低減が必要なのに比較して、特性が改善されています。

 b)巻線形誘導電動機
  ・巻線形誘導電動機は、二次抵抗器により始動電流を小さくして、始動トルクを大きくすることができるなど、優れた始動特性を持っているので、電源容量が小さく始動電流が制限される場合に有効です。

  ・速度制御が容易で中型以上のポンプ用電動機として、最も多く使用されています。ただし、スリップリング、ブラシの保守が必要です。これらの摩耗を緩和する処置として、速度制御を行わない場合、スリップリング短絡装置及びブラシ引上げ装置を設けることもあります。

 

(3)同期電動機

  ・同期電動機の長所としては以下のようなものがあります。

    / 界磁電流を調整して、力率を100%にすることが可能なばかりでなく、進み力率にすることも可能です。従って、設備全体の剛性力率を改善することができます。

    / 誘導電動機と比較して効率がよく、特に低速度回転の場合に優れた特性を持っています。

    / 負荷が変動しても、回転速度を一定に保持することが可能です。

    / エアギャップが誘導電動機より大きいので、ギャップ部の呼称が少ない、従って保守が容易です。

  ・一方、短所としては以下のようなものがあります。

    / 直流励磁が必要なので、誘導電動機と比較して設備費が高くなります。ただし、大容量機及び低速度機になると、逆に誘導電動機より設備費が安価になる傾向があります。

    / 始動トルクが小さく、指導方式がやや複雑です。

    / 乱調を起こす恐れがあります。

  ・同期電動機は、大容量、低速度領域では、誘導電動機よりも優れた特性を示します。

  ・高速度領域の場合でも、回転子を塊状にすることにより、機械的強度を持たせることができます。

  ・近年、ブラシレス励磁方式が多く採用されています。この方式は、交流励磁機と回転整流装置により、スリップリングとブラシを無くすることができ、無保守化が可能で信頼性向上、省力化を可能にします。

 

(4)交流整流子電動機

  ・一次巻線を回転子側に設ける回転子給電形と、固定子側に設ける固定子給電形があります。

  ・回転子給電形を、シュラーゲモータと言われます。ブラシを移動させることにより、二次側電圧を調整して速度制御を行うことができます。

  ・固定子給電形の場合、二次励磁装置として誘導電圧調整器を用います。その長所は、

    / 効率、力率が良好。

    / 指導特性が良い。

    / 同期速度以上の運転が可能である。

   などがあげられます。一方、ブラシ整流子、スリップリングの保守が必要です。

 

(5)サイリスタモータ

  ・交流無整流子電動機といい、同期電動機が使用されます。原理的には、直流機の整流作用をサイリスタによるスイッチング作用に置き換えたものであり、直流機の優れた速度制御性と興隆期の持つ優れた保守性の両方の長所を兼ね備えた可変速電動機になります。

  ・サイリスタモータの長所は、

    / 直流機のような整流子とブラシとの機械的接触が無く。完全ブラシレス化できるので、保守・点検が容易。

    / 制御性がよく、特性も本質的に直流機と同一である。

    / 広範囲でかつ可逆運転、改正運動可能な速度制御が行える。

  ・サイリスタモータの短所は、

    / 発生トルクの瞬時値に脈動を生じる。

    / 高周波対策が必要。

 

 

 

参考文献
兵神装備 エンジニアズブック技術データ集vol.19

 

ORG:2023/09/24