1.流量計測の特徴

1.流量計測の特徴(Characteristics of flow measurement)

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1. プロセス変数

一般に流体を取扱うプロセスでは、プロセスを制御する物理的な変数として、温度、圧力、流量、レベルの4つが重要な変数として取り扱われます。特に流量は、プロセスの時間的な推移を正確に把握する必要から重要です。計装用語ではこれらのプロセスの状態を表す量を、プロセス変数として定義します。

プロセス変数という用語は、計装の分野では物理量、化学量にもかかわらず、着目するプロセスの状態量を示します。例えば、化学反応を伴うプロセスでは、流体の成分や濃度が化学的なプロセス変数になります。

 

 

2. 流量と温度、圧力との差異

流速の測定では、流量の他に温度や圧力が密接に関連しています。流量と同時に温度や圧力の計測も同時に行う場合が多くあります。本項では流量と他の物理量(温度、圧力)との違いについて示します。

2.1 示強性変数と示量性変数

流速測定でのプロセス変数である、「流量」,「温度」,「圧力」が重要な変数ですが、「流量」と「温度」,「圧力」とは区別されます。流量は示量性変数、温度や圧力は示強性変数と呼ばれ異なる条件が要求されます。

(1)示量性変数:流量

示量性変数(extensive variable)とは、「熱平衡関係が成立する場合、系を分割すると、それに比例して少なくなる状態量」と定義されています。例えば、質量100 kgの物体を2つに分割すれば50  kgと50  kgに分割され、体積100㎥の容積を二分割すれば50㎥と50㎥になるようなものが示量性変数です。つまり、系の一部を取出して計測しても意味がない状態量です。

流量は、管内流れの一部分の流速成分を計測しても正しい数値を得ることは出来なくて、管の断面全体の流速成分を測定して、体積や質量から積分操作することで求められるので示量性変数となります。

(2)示強性変数:温度,圧力

示強性変数(intensive variables)とは、「熱平衡関係が成立する場合、系をどのように分割しても変化しない状態量」と定義されています。例えば、50℃の温水を2つの容器にわけても両方とも50℃の温水で、2つの容器で液温が異なることはありません。また50℃の温水を入れた容器であれば、容器内のどの部分を測定しても50℃を示します(対流などの流体の流れが無いとして)。液体や気体などの温度や圧力は、小さく分割(微分)しても測定値が変わらず、一部を測定することで全体の状態を知ることができるので示強性変数となります。

 

2.2 流量測定と温度・圧力測定における相違点

示強性変数である温度・圧力は、ある範囲であればどの部分を測定しても基本的には同じ結果が得られます。1個のセンサで測定値を得られますが、複数のセンサを設置するとより信頼性を高めることができます。

一方、示量性変数である流量の場合、例えばパイプ断面を通過する流れのようにその断面全体での状態の変化を測定する必要があります。そのため複数のセンサを用いて信頼性を高めることは難しいです。

流量と温度・圧力との性質の違いから、流量測定に対しては温度・圧力測定の特性の差異について示します。

(1)流量計は冗長化が難しい。

温度・圧力測定では、測定系に複数のセンサ(温度センサ,圧力センサ)を取付けておけば、1本が故障しても運転を継続することができるのに対して、流量センサは系全体の流れを測定する必要があり、複数の流量センサを置く冗長化が難しいと言われています。

(2)容量,取扱流体から実校正が難しい。

流量測定は、流れ場全体にわたっての測定であり、空間的に積分する必要があります。従って大流量流量計については、流量計の校正が困難になります。電磁流量計や超音波流量計については、その主な用途から大口径(直径2 000~3 000 mm)の流量計もあります。そのような流量計では、水を使って校正する場合でも、大規模な実流体校正装置が必要になります。また水以外で、油や空気を使用する実流体校正装置は存在しても、測定する流体と同じものによる校正を行うことは稀です。その場合、実使用流体の性質や、流量計の設置条件等を考慮した校正が必要となります。

 

 

 

 

 

 

参考文献
流量計ガイド    黒森健一   インターネット
完全版流量の教科書 キーエンス

 

 

ORG:2018/8/5