2.11 錬鉄

2.11 錬鉄(Wrought Iron)

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1783年にイギリスのヘンリー・コート(Henry Cort)が石炭を燃料とする反射炉により銑鉄を製錬するパドル炉技術を開発して、特許を取得(1784年)しました。従来の木炭を使用した反射炉では不十分だったものを、石炭の燃焼による高熱と溶融スラグの反応により、銑鉄中の不純物を除去することを可能にしました。半溶融の銑鉄を鉄棒で撹拌して、不純物を炉内の酸素と反応させてスラグとして除去したものを、最終的に鉄棒に絡みつかせて鉄を取り出したので、パドル法(Puddling process)と名付けられました。このパドル法により製造された鉄を錬鉄といいます。

図2.11.1 パドル炉 (frm Wikipwdia)

錬鉄は、炭素含有量が0.02〜0.05%と⾮常に少ない軟鉄です。しかし、精練が不完全で、⾮⾦属介在物(スラッグ)も含まれていました。炭素量が少ないため延性は大きく、簡単に鍛造や溶接が可能でした。一方衝撃荷重には耐えられませんでした。引張強さは250~500MPa、最大圧縮強度は300MPaといわれています。

鉄道レールや、橋などの構造材料に使用されました。錬鉄で製作された代表的な構造物として、エッフェル塔があります。錬鉄の需要は19世紀中頃にピークを迎えました。しかし、1855年にヘンリー・ベッセマー(Henry Bessemer)が「底吹き転炉」を用いたベッセマー法を開発して鋼が大量に生産できる技術が確立されたことにより、錬鉄は人手で炉内を拡販する非能率性の問題や強靭性が鋼と比較して劣るなどから、鋼に置き換えられるようになりました。

現在では、錬鉄は商業規模での生産は行われていません。製品に錬鉄製という言葉が使われているものは、実際は軟鉄か鋳物製品です。

図2.11.2 エッフェル塔 (Pixabay License)

 

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参考文献
A Textbook of Machine Design  R.S. Khurmi et al.   EURASIA PUBLISHING HOUSE (PVT.) LTD. 2005
錬鉄  Wikipedia(2019/11/23閲覧)

引用図表
図2.11.1 パドル炉 (frm Wikipwdia)
図2.11.2 エッフェル塔 (Pixabay License)

ORG:2019/11/23