4.14 安全率の選択

4.14 安全率の選択(Selection of Factor of Safety)

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機械部品を設計する際は、安全率を適切に選択する必要があります。例えば、圧力容器の設計のように許容応力を含めて用いるべき計算式がJISや法律(この場合は、高圧ガス保安法)で決まっている場合は、設計的には楽な部分があります。むしろ製造工程で決められた工程で行われるかの管理が必要で、これはこれでスキルが必要ですが。

安全率は、材料や、製造工程、応力の形式、使用条件、部品形状など、多くの考慮すべき点があります。設計技術者は適切な安全率の選択のために、以下のような点を考慮する必要があります。

1.材料特性の信頼性および、使用中の変化
2.テストピースでの試験結果の信頼性および、これらの結果を実際の機械部品に適用したときの正確性
3.設計に用いる負荷の信頼性(ばらつき、変動の評価の妥当性)
4.故障モードの評価の適切性
5.単純化した仮定を適用する限度(近似の程度)
6.局所的な応力の程度(応力集中係数の把握)
7.製造中に付加される初期応力の程度
8.障害が発生した場合の死亡の範囲
9.障害が発生した場合の財産損失の程度

これらは、相反する課題を与える場合もあります。設計者の経験と計算結果への洞察力が要求されます。

表4.14.1 は1800年代後半にイギリスのアンウィン(W.C.Unwin)により発表された古典的な安全率の表です。現在ではほとんど使われていません。設計の検討初期の段階で使用する場合もありますが、詳細設計に至るまでには不確定率を下げてより正確なデータに基づいて安全率の値をより適正にする必要があります。

安全率の定義は、

\( S = \displaystyle \frac{ \sigma_{ B } }{ \sigma_{ a }} \) (式4.14.1)

ここで、
\( S \):安全率(-)
\( \sigma_{ B } \):引張強さ(N/mm2)
\( \sigma_{ a } \):許容応力(N/mm2)

表4.14.1 Unwinの安全率

 

 

 

参考資料
A Textbook of Machine Design by R.S.KHURMI AND J.K.GUPTA India
安全率   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%8E%87  Wikipedia

 

引用図表
表4.14.1 Unwinの安全率   データ:Wikipedia

 

ORG:2020/9/2