繊維の見分け方

繊維の見分け方(fiber)

スポンサーリンク

アフィリエイト広告を利用しています。

[このコンテンツを書いた理由]

管理人は、明示はしておりませんが油圧関係の品質管理・生産技術をなりわいにしております。御存じの方はお分かりになると思うのですが、油圧機器は細かなゴミでも嫌います。当然組立や検査の際はウェスを傍に置いたり、軍手をはめるのは原則禁止です。

顧客からのクレーム品で作動不良のものが返却されてくると、原因をチェックしなければならないのですが、コンタミナントがトラブルの原因であることがままあります。

コンタミナントを、顕微鏡で見るのですが、結構糸くずのようなものが見つかることが多いです。それでこの糸くずはどこから出てきたのかと考える必要があります。

顕微鏡で覗いて、透明で平べったいものがたくさんあれば、

『これは綿糸だ、軍手かウェスだろう。』

『我々は、部品を洗浄した後は、軍手もウェスも使っていない。』

だから、これが顧客が主機に取付ける際に紛れ込んだものだろう。

と推論して、当方の責任ではありませんと回答する場合が多いです。

(もちろん、顧客に不快な思いはさせないように、いろいろ考えますが。)

つまり、このコンテンツは結構実用的なところを狙って書いていますよとアピールしているわけです。

それでは、本文をご覧ください。
(写真や事例は、今後とも追加していく予定です。)

 

繊維とは元来は布を織る糸のことをいいます。ASTMインターナショナルの定義では、繊維は材質を問わず、長さが直径あるいは幅の100倍以上あるものとされています。

繊維には、天然繊維化学繊維(人造繊維)とに分類されます、

天然繊維は、繊維の形状が自然に作られたもので、さらに植物繊維、動物繊維、鉱物繊維に分けられます。植物繊維は、木綿や麻などがあります。動物繊維は、ウールやシルクなどがあります。鉱物繊維は、現在は使用禁止になっている石綿があります。

化学繊維(人造繊維)は繊維の形状が人工的に作られたもので無機質繊維と有機質繊維に分けられます。無機質繊維には、ガラス繊維や炭素繊維、岩石繊維(ロックファイバ)などがあります。有機質繊維は、更に合成繊維および、半合成繊維、再生繊維に分けられます。

合成繊維は、低分子の製造原料から重合等の方法で合成によりつくられた、高分子組成の化学繊維で、ナイロン(ポリアミド)やポリエステルなどがあります。

半合成繊維は、天然の高分子化合物を原料にして、他の物質との化合により化学変化を多少加えて紡糸したもので、セルロースから合成されたアセテートなどがあります。

再生繊維は、天然高分子化合物を原料にして、それを溶解してから紡糸してつくられたものでセルロースからつくられた、レーヨンやキュプラがあります。

有機質化学繊維の場合、液状のポリマーをノズル等を通して所定の繊維にするので、基本的にノズル断面形状が転写されています。従って、顕微鏡写真だけでは判断が難しいことが多いです。

また、天然繊維は様々な太さがあるのに対して、化学繊維は混紡、交撚品以外は同じ太さである場合が多いです。

 

繊維ごとの外観と特徴

 

A. 天然繊維

・綿(cotton)

中空でリボン上のへん平になっています。1本の糸で200~300回の天然のよじれ(天然撚り)が認められます。水分を除くとほとんどがセルロースで構成されています。

図1 綿   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

 

・亜麻(リネン)

苧麻(ラミー)と比較すると、側面に突起のある節が認められます。

図2 亜麻   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

 

・苧麻(ラミー)

亜麻(リネン)と比較すると、繊維軸と垂直方向に節が認められます。

図3 苧麻   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

 

・ウール(wool)

羊から採取した毛です。羊毛ともいいます。ケラチンというたんぱく質でできており、スケールと呼ばれるうろこ状の表皮部分と皮質部分(コルテックス)とから構成されており、スケールが繊維を保護しています。内部の皮質部分の断面は円形です。

図4 ウール   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

 

・カシミア(cashmere)

カシミヤ山羊の毛です。ウールと比較して平滑で細く、規則正しく間隔の広いスケール(うろこ状の表皮)に覆われています。

図5 カシミア    出典:(一財)ケケン試験認証センターHP

 

・アンゴラ(angola)

アンゴラうさぎの毛です。アンゴラうさぎの毛は太い刺毛と細い毛とがありますが、どちらも使われます。毛の特徴は、どちらも規則正しい中空の髄がみられることです。

図6 アンゴラ   出典:(一財)ケケン試験認証センターHP

 

・絹(silk)

絹繊維は蚕(カイコ)が繭をつくるときに吐く繭糸からできています。繭糸は2本のフィブロインと言われる2本の繊維の周りをセリシンというニカワ質が覆った構造をしています。絹繊維は繭糸をアルカリ性の熱湯に漬けてセリシンを溶解させてフィブロインを取り出します。フィブロイン表面はなめらかで、断面は三角形になっています。

図7 絹   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

スポンサーリンク

 

B. 化学繊維

・レーヨン(rayon)

レーヨンは、ユーカリやアカシアなどの木材パルプ中のセルロースをアルカリ処理して、二酸化炭素と反応させたレーヨンも原液(ビスコース)を細い穴が多数あけられた「口金」から酸性浴中に押し出してセルロースを繊維状にしたものです。繊維軸方向に数本の線条が認められます。断面は不規則なのこぎり状です。

図8 レーヨン   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

図8-1 レーヨンの製造方法 Complete Textile Glossary

・ナイロン(nylon)

表面はなめらかで、断面は円形になります。

図9 ナイロン   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

 

・ポリエステル(polyester)

表面はなめらかで断面は円形になります。

図10 ポリエステル   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

 

転職成功の秘訣は、サイトに公開されない求人にあった。

 

 

 

 

 

参考文献
Handbook of Fiber Chemistry: Third Edition, edited by Menachem Lewin   CRC Press
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP:https://www.iri-tokyo.jp/site/archives/complaint-technique-s04.html
(一財)ケケン試験認証センターHP:http://www.jwif.org/cashmere/cashmere.html
徳島県高等学校教育研究会家庭学会HP 被服材料の写真:http://katei_ver1.tokushima-ec.ed.jp/ka-kyozai/hi08zairyo/hi-zairyo.html

 

引用図表
図1 綿   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP
図2 亜麻   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP
図3 苧麻   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP
図4 ウール   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP
図5 カシミア    出典:(一財)ケケン試験認証センターHP
図6 アンゴラ   出典:(一財)ケケン試験認証センターHP
図7 絹   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP
図8 レーヨン   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP
図8-1 レーヨンの製造方法  出典:Complete Textile Glossary Celanese Acetate LLC.
図9 ナイロン   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP
図10 ポリエステル   出典:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターHP

 

Correct:2021/08/24:本コンテンツを御読み頂いた方からのご指摘で誤字修正致しました。ありがとうございました。
ORG: 2021/03/10
Add: 2021/03/21