オイルシールの損傷事例

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オイルシールの損傷事例(Oil seal Failure Modes)

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オイルシールは、自動車などの車両や機械装置に組込まれて、静止時及び軸の作動中に流体を密封する役割があります。比較的高機能な密封要素ですが、価格的には安価で適用しやすいものです。オイルシールが適用される軸は回転と往復動との2種類の動きが考えられます。

このコンテンツでは、オイルシールの主要な損傷例について、その原因と是正対策を記述します。

 

1. オイルシール漏洩の原因

オイルシールの漏洩が発見された場合、最初にすべきことは漏れの発生個所の特定です。漏洩がオイルシールからでは無かったり、漏れ以外のたとえが周囲の油脂が付着している場合など、オイルシールからの漏洩と誤認してしまう場合があります。

例えば、
1)機器の合わせ面からの漏洩
 ・ガスケットの永久変形
 ・締付けボルトのゆるみ
 ・組立部品の傷(盛り上がり、凹み)
2)機器本体、カバー部品のき裂、巣からの漏洩
3)組立時にオイルシールやハウジングの大気側面への油脂付着
4)オイルシールの初期潤滑剤のはみ出し

 

オイルシールからの漏洩は、シールリップからの漏洩と嵌め合い部からの漏洩とに分けられます(図1)。

図1 オイルシールの漏洩個所

 

これらオイルシールの漏洩個所から考えた漏洩原因について図2に示します。

図2 オイルシールの漏洩個所毎の漏洩原因

また、この漏洩原因について、要因別にまとめた特性要因を図3に示します。

図3 オイルシール漏洩個所の特性要因図

 

2.リップ部からの漏れ

リップ部からの漏れを要因別に故障モード毎に推定される原因と対策について簡単に記述します。

 

2.1 リップ部過大摩耗
(1)潤滑不足(図4a,図4b)

故障モード:
リップ部先端部の摩耗大。摩耗面は荒れて光沢が無い。

推定原因:
①潤滑油が規定量以下で、リップ部が油で濡れずに乾燥状態で摺動して、異常摩耗を起こした。
②オイルシール取付け部近傍の構造に問題があり、リップ部まで油が回り込まなかった。問題になる例として、
 1)シールリップ部の前にスリンガがあり、油がリップ部に届かない。
 2)シールリップ部の前に大きいドレンがある。
③飛沫潤滑のため始動時から数分間程度リップ部に油が回らない。

対策:
①油が規定量より少ない場合は、規定量まで補給して運転する。
②・応急処置としては、ダストリップタイプに変えてリップ間にグリースを塗布する。
 ・恒久対策はオイルシール周りの構造を変更して、油がリップ部まで回るようにする。

図4a,4b  潤滑不足によるリップ部過大摩耗

(2)異物噛み込み(図5)

故障モード:
リップ先端部の摩耗が大きく、”すじ”、”へこみ”がある。

推定原因:
①切削くずが付着した軸やオイルシールをそのまま使用したために、付着した切削くずがリップ部に噛み込まれる。
②塵埃が付着した軸に、オイルシールを取り付けたためリップ部に噛み込まれる。
③リップ部や軸に液状ガスケットが付着したまま使用して、リップ先端部に噛み込まれる。

対策:
①軸やオイルシール部を確実に洗浄して、異物が付着していないのを確認する。

図5 異物噛み込みによるリップ部過大摩耗

(3)内圧過大

故障モード:
リップ先端部の摩耗が大きく、凹みが認められる。

推定原因:
オイルシールに付加される圧力が設計値以上になっている。

対策:
①耐圧オイルシールを適用する。
②ブリーザプラグを取り付けて、オイルシール部に圧力が掛からないようにする。

 

(4)軸面粗度過大(図6)

故障モード:
リップ先端の摩耗が大きく、摩耗面に円周方向のすじ傷が付く。

推定原因:
軸の面粗度が推奨値より粗いため、異常摩耗を起こす。

対策:
①軸の面粗度の最適値は、Rz0.8~2.5μmなので、エメリーペーパー(#240)で修正する。その際プランジ加工(軸方向に送りが無い加工)することに注意する。
②適正な面粗度の軸に交換する。

図6 軸面粗度過大によるリップ部過大摩耗

2.2 リップ部偏摩耗
(1)取付け時の偏心大(図7)

故障モード:
リップの摺動幅が円周上不均一で、摺動幅の最大幅と最小幅とが、ほぼ対象位置にある。

推定原因:
①軸中心とハウジング中心とがずれた状態で取り付けられて運転した。
②軸が一方向にたわんだ状態で運転された。例えばミスアライアメントが過大、軸端負荷が過大など。

対策:
①軸とハウジングとの同心度の精度を上げる。
②軸の剛性を上げる。

図7 取付け時の偏心大によるリップ部偏摩耗

(2)斜めに取付け(図8)

故障モード:
リップの摺動幅が円周上不均一で、摺動幅の最大幅と最小幅とが、ほぼ対象位置にある。また、シールリップ部とダストリップ部の摺動幅の大小関係が逆になっている。

推定原因:
①ハウジング取付穴の内径が指定値より小さく仕上がったものに、無理やりオイルシールを圧入して、オイルシールが傾斜して取り付けられた。
②ハウジング取付穴入口の面取りが施されていないか小さい場合に、無理やりオイルシールを圧入して、オイルシールが傾斜して取り付けられた。
③取付け治具が傾斜した状態で、オイルシールを傾斜させて取付けた。

対策:
①ハウジングの仕上がり公差を指定値内に収める。
②ハウジングの面取りを指定された値で施す。
③改善した取りけ治具を製作する。

図8 斜めに取付けによるリップ部偏摩耗

 

2.3 リップ部硬化
(1)異常に温度上昇(図9)

故障モード:
リップ部摺動部は滑らかで光沢がある。リップ部全体が硬化しており摺動部に亀裂が発生している。

推定原因:
①シール部近傍の油温が、リップ部材料のゴムの耐熱限界を超えた。
②設計時の想定温度より油温が上昇して、リップ材料のゴムの耐熱限界を超えた。

対策:
①油温上昇の原因を特定して、温度上昇を解消する。
②耐熱性の良好なゴム材料に変更する。耐熱限界が低い方から、NBR(ニトリルゴム)→ACM(アクリルゴム)→FKM(フッ素ゴム)となる。ただし、油種による適合性も考慮する必要がある。

図9 異常な温度上昇によるリップ部硬化

 

(2)内圧過大

故障モード:
リップの摺動幅が広く光沢がある。リップ摺動部に亀裂が発生している。

推定原因:
流体側圧力がオイルシールの耐圧限界を超えた。

対策:
①耐圧オイルシールに変更する。
②ブリーザプラグを取り付けて、オイルシール部に圧力が掛からないようにする。

 

(3)リップ部の潤滑不良(図10)

故障モード:
リップ摺動部が滑らかで光沢があり、リップ摺動部に亀裂が発生しているか、もしくは指で強く推すと亀裂が発生する。硬化は摺動面だけの限定的なことが多い。

推定原因:
①潤滑油が規定量以下で、リップ部への油のかかりが少なく、潤滑不足状態になっていた。
②飛沫潤滑のためリップ部への油のかかりが少なく、潤滑不足になった。

対策:
①油が規定量より少ない場合は、規定量まで補給して運転する。
②・応急処置としては、ダストリップタイプに変えてリップ間にグリースを塗布する。
 ・恒久対策はオイルシール周りの構造を変更して、油がリップ部まで回るようにする。

図10 潤滑不良によるリップ部硬化

2.4  リップ部軟化
(1)リップ材料の選択ミス

故障モード:
リップ部が膨らんで軟らかくなっている。

推定原因:
①密封流体に対してリップ材料が不適正で、リップ部が膨潤した。
②洗い油やガソリンに浸漬したり、洗浄後液は付着したままの状態で放置したため、リップ部が膨潤した。

対策:
①密封流体に対して膨潤しないゴム材料を選択する。あるいは、密封流体を膨潤させないものに変更する。
②オイルシールは、洗い油やガソリンで洗浄しない。

 

2.5 リップ部傷
(1)取付け時の不良(図11)

故障モード:
リップ先端部に目視可能な傷が付いている。

推定原因:
①オイルシールが、キー溝やスプラインの上を通過する際、鋭角部と接触して傷つけた。
②軸面取り部に、「バリ」や「カエリ」が付いたままオイルシールを取り付けたため、傷つけた。

対策:
①オイルシール取付けの際、キー溝やスプラインにはキャップをかぶせたり、テープを巻いて養生し、リップ部に傷をつけないように注意する。
②「バリ」、「カエリ」を除去する。

図11 取付け不良によるリップ部傷

(2)取扱い不良

故障モード:
リップ先端部に目視可能な傷が付いている。

推定原因:
①オイルシールの運搬中や保管中に、鋭利な金属部品にリップ部を当ててしまい、リップ先端部に傷を付けた。
②切粉が付着した手袋などでオイルシールを取扱ったため、リップ先端部に傷を付けた。

対策:
①運搬、保管方法の改善を図る。
②汚れた手や手袋で、リップ先端部に触らない。通常の取扱いでも、リップ部には触らないようにする。

 

(3)軸の面取り不良

故障モード:
リップ先端部に目視可能な傷が付いている。

推定原因:
軸端面の面取り寸法、および面取り角度が不適正で、リップ部が軸端面にひっかかり傷が付いた。

対策:
軸の面取り形状を適正にする。

 

(4)リップ部への異物噛み込み

故障モード:
①リップ先端部に異物が付着している。
②リップ摺動部に「くぼみ」が付いている。

推定原因:
①オイルシールの取付け時に軸に切粉が付着していたため、切粉をリップ先端部に噛み込んだ。
②切粉が付着した部品を使用したために、リップ先端部に切粉が噛み込んだ。
③ダストが多い環境に長時間置かれた軸やオイルシールを使用したため、異物がリップ先端部に噛み込んだ。

対策:
オイルシール周りの部品を洗浄して、異物が無いようにする。

 

2.6 リップ腰部破損
(1)取付け時の不良(図12)

故障モード:
リップ腰部に亀裂が入っている。

推定原因:
オイルシール取付け時に、リップ部が押しつぶされて、リップ腰部に亀裂を生じさせた。

対策:
軸とハウジング穴との心出しを行い、注意して取り付ける。

図12 取付け時の不良によるリップ腰部破損

 

(2)内圧過大

故障モード:リップ腰部に亀裂が入っている。

推定原因:
①組立後の耐圧試験(気密検査など)の際、過大な圧力が負荷され、腰部に亀裂を生じさせた。
②運転中に、設計時に検討した圧力を超える高い圧力が発生して、腰部に亀裂を生じさせた。

対策:
①オイルシールの耐圧仕様以上の圧力では検査しない。
②耐圧オイルシールに変更する。
③過大な圧力が発生しない構造に設計変更する。

 

2.7 リップ部反転
(1)軸の面取り不良

故障モード:
オイルシールを軸に挿入する方向とは逆方向にリップ部の一部が反転している。

推定原因:
軸端面の面取り寸法、および面取り角度が不適正で、リップ部が軸端面にひっかかりリップ部が反転した。

対策:
軸の面取り形状を適正にして、面取り部にグリースを塗布して組立てる。

 

(2)取付け時の不良

故障モード:
オイルシールを軸に挿入する方向とは逆方向にリップ部の一部が反転している。

推定原因:
軸とハウジングとの心出しが出来ていず、乱雑に組立てたためリップ部が反転した。

対策:
軸とハウジングとの心出しをする。注意して組み立てる。軸端部にグリースを塗布して組み立てる。

 

(3)内圧過大(図13)

故障モード:
リップ部の円周上の一部、または全体が外側に反転している。

推定原因:
運転中に、異常な高圧が発生してリップ部に異常な力が作用して、反転した。

対策:
①圧力がかからない構造に変更する。
②耐圧オイルシールを使用する。

図13 内圧過大によるリップ部反転

2.8 ガータ―スプリング脱落
(1)軸の面取り不良

故障モード:
部分的、または全体に、「ガータ―スプリング」が外れている。

推定原因:
軸端面の面取り寸法、および面取り角度が不適正で、リップ部が軸端面にひっかかり「ガータ―スプリング」が脱落した。

対策:
軸の面取り形状を適正にして、面取り部にグリースを塗布して組立てる。

 

(2)取付け時の不良

故障モード:
部分的または全体に、「ガータ―スプリング」が外れている。

推定原因:
軸とハウジングとの心出しが出来ていず、乱雑に組立てたため「ガータ―スプリング」が脱落した

対策:
軸とハウジングとの心出しをする。注意して組み立てる。軸端部にグリースを塗布して組み立てる。

 

2.9 オイルシールの変形
(1)取付け時の不良

故障モード:
オイルシールが変形して、変形部でリップの摺動幅が変化している。

推定原因:
オイルシール取付け治具が不適正のため、オイルシールを変形させた。

対策:
改善した取りけ治具を製作する。

 

2.10 オイルシール異常無し
(1)軸の傷(図14)

故障モード:
オイルシール摺動部の軸部に傷がある。

推定原因:
リップ摺動部に目視可能な傷や巣があり、その部分でシールリップ部の密閉作用が断続した。

対策:
①オイルシール取付け部にシムをかませて、リップ摺動位置をずらす。
②傷を修正加工する。

図14 軸の傷

(2)軸の加工目

故障モード:
軸のオイルシール摺動部が送り加工されている。

推定原因:
①仕上げ加工をせずに旋盤加工しただけの軸を使用した。
②仕上げ加工時、研磨時やエメリーペーパー仕上げ時に送りをかけた。

対策:
①軸のリップ摺動部にエメリーペーパー(#240)で送りをかけずに修正する。
②軸方向に送りをかけない仕上げ方法に変更する(プランジ加工)。

 

(3)軸偏心量過大

故障モード:
軸についているオイルシールの摺動痕が、周方向に強弱がある。

推定原因:
①ベアリングが損傷して、軸偏心量が設計値より大きくなった。
②機構上軸の偏心量が多いのに、汎用オイルシールを使用した。

対策:
①ベアリングを交換する。
②耐偏心用特殊オイルシールを選定する。

 

(4)軸の摩耗

故障モード:
オイルシールのリップ部が摺動している部分が摩耗している。

推定原因:
①切粉やダストが付着したオイルシールを取り付けた。
②潤滑油の劣化、異物混入。
③外部より異物が混入してリップ摺動部に噛み込んだ。
④軸に非鉄金属を使用した(リップの締付け力による摩耗)。

対策:
①機器を洗浄して、オイルシール取付けの際シムを入れてリップ摺動部位置をずらす。
②ダスト量が軽微な場合、ダストリップ付きのオイルシールを適用する。
③ダストカバーを設ける。
④適正な材質の軸を使用する。

 

(5)取付け方向が逆

故障モード:
オイルシールのばね側が大気側を向いて取り付けられている。

推定原因:
オイルシール取付けの際の誤装着

対策:
シールリップ部の向きを、、密封流体側にして取り付ける。

 

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3. 嵌合部からの漏れ

3.1 オイルシールを傾けて取付け
(1)ハウジング穴内径小

故障モード:
①オイルシールを取り外す前;軸およびハウジングに対してオイルシールが傾斜して取り付けられている。
②オイルシールの取り外し後;オイルシールの嵌合部のあたりが不均一

推定原因:
ハウジング穴寸法が、指定より小さく仕上がっているものに、無理にオイルシールを圧入したため、オイルシールが傾斜して取り付けられた。

対策:
ハウジング穴内径寸法を適用するオイルシールに適合した値に加工する。

 

(2)ハウジング面取り不良

故障モード:
①オイルシールを取り外す前;軸およびハウジングに対してオイルシールが傾斜して取り付けられている。
②オイルシールの取り外し後;オイルシールの嵌合部のあたりが不均一

推定原因:
ハウジング穴入口の面取りがされていないかあるいは適正でないのに、無理にオイルシールを圧入したため、オイルシールが傾斜して取り付けられた。

対策:
ハウジング穴端面に、適正な寸法の面取りをする。

 

(3)取付け治具の不適正

故障モード:
①オイルシールを取り外す前;軸およびハウジングに対してオイルシールが傾斜して取り付けられている。
②オイルシールの取り外し後;オイルシールの嵌合部のあたりが不均一

推定原因:
取付け治具が傾斜していたため、オイルシールが傾斜して取り付けられた。

対策:
取付け治具を改良する。

 

3.2 オイルシール変形
(1)取付け治具の不適正

故障モード:
嵌め合いの跡が局部的に途切れている。

推定原因:
①オイルシール取付け治具が適正でないため、オイルシールを変形させた。
②取扱時に局部的に変形させたオイルシールを取り付けたため、はめ合い部に隙間が発生した。

対策:
①取付け治具を改良する。
②オイルシールの取扱時に、落下させたり、硬いものにぶつけたりしないように取り扱う。

 

3.3 外周のむしれ・かじり
(1)ハウジング穴内径小

故障モード:
オイルシールの取り外し後;オイルシールの嵌合部に、取付け方向の傷がある。あるいはゴムがむしれている。

推定原因:
ハウジング穴寸法が、指定より小さく仕上がっているものに、無理にオイルシールを圧入したため、オイルシールが傾斜して取り付けられ、はめ合い部に傷が付いた。

対策:
ハウジング穴内径寸法を適用するオイルシールに適合した値に加工する。

 

(2)ハウジング面取り不良

故障モード:
オイルシールの取り外し後;オイルシールの嵌合部に、取付け方向の傷がある。あるいはゴムがむしれている。

推定原因:
ハウジング穴入口の面取りがされていないかあるいは適正でないのに、無理にオイルシールを圧入したため、オイルシールの外周の嵌め合い部に傷が付いた。

対策:
ハウジング穴端面に、適正な寸法の面取りをする。

(3)取付け治具の不適正

故障モード:
オイルシールの取り外し後;オイルシールの嵌合部に、取付け方向の傷がある。あるいはゴムがむしれている。

推定原因:
オイルシール取付け治具とハウジングとの平行度が出ていない状態で、オイルシールが装着されてめ、オイルシール外周部がむしれた。

対策:
オイルシールの取付け治具とハウジングとの平行度を出す。

 

3.4 オイルシール異常無し
(1)ハウジング穴内傷・巣

故障モード:
ハウジング内面に傷や巣が認められる。

推定原因:
①ハウジング内面やオイルシール嵌合部に、切粉などの異物が付着したままオイルシールを装着して、ハウジング内面に傷が発生した。
②オイルシールの取付け・取外しを繰り返し行った結果、ハウジング内面に傷が発生した。
③ハウジング穴内面に大きな巣があった。
④ハウジング穴面取り部の「バリ」を除去せず、オイルシールを取り付けたためハウジング内面に傷が発生した。

対策:
①ハウジング穴内面の傷や巣が埋まる程度に液状ガスケットを薄く塗布する。ただし、液状ガスケットはオイルシールのリップ部や相対する軸部に付着しないように注意する。

 

(2)ハウジング穴面粗度過大

故障モード:
ハウジング穴内面のオイルシール取付け面の面粗度が粗い。

推定原因:
ハウジング穴内面の面粗度がオイルシールカタログに示される推奨値より大きい。

対策:
①応急処置;ハウジング穴内面に液状ガスケットを塗布する。
②恒久対策;ハウジング穴内面の面粗度をオイルシールカタログに示される推奨値に合わせる。

 

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参考文献
NOKオイルシールカタログ   NOK
CR seals handbook    SKF
Garlock_Klozure_Technical_Manual_KLZ 2-56_July2010_web_RevF

 

引用図表
図1 オイルシールの漏洩個所    加筆_CR Seals handbook
図2 オイルシールの漏洩個所毎の漏洩原因     NOKオイルシールカタログ
図3 オイルシール漏洩個所の特性要因図    参考_CR Seals handbook
図4a  潤滑不足によるリップ部過大摩耗  NOKオイルシールカタログ
図4b  潤滑不足によるリップ部過大摩耗  Garlock_Klozure_Technical_Manual
図5 異物噛み込みによるリップ部過大摩耗  NOKオイルシールカタログ
図6 軸面粗度過大によるリップ部過大摩耗     CR Seal handbook
図7 取付け時の偏心大によるリップ部偏摩耗  NOKオイルシールカタログ
図8 斜めに取付けによるリップ部偏摩耗  NOKオイルシールカタログ
図9 異常な温度上昇によるリップ部硬化  NOKオイルシールカタログ
図10 潤滑不良によるリップ部硬化    Garlock_Klozure_Technical_Manual
図11 取付け不良によるリップ部傷     CR Seal handbook
図12 取付け時の不良によるリップ腰部破損    NOK シールカタログ
図13 内圧過大によるリップ部反転     CR Seal handbook
図14 軸の傷    Garlock_Klozure_Technical_Manual

 

ORG:2020/10/22