1.3 凝固組織と状態図

1.3 凝固組織と状態図

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1. 凝固組織(structure of cast metals)

凝固した鋳造品の断面を研磨した後、適当な腐食液(例えばナイタール液)でエッチングすると、図1.3.1に示すのような結晶粒組織が観察できます。もっとも代表的な組織は図1.3.1(b)で、チル晶、柱状晶、等軸晶の3つの状態で構成されています。
(1) チル晶(chilled layer):鋳型に鋳込まれた湯が、鋳型表面で急速に冷却・凝固してできた微細結晶です。
(2) 柱状晶(columnar crystal):チル晶をもとに柱状に結晶が成長したものです。
(3) 等軸晶(equiaxed crystal):中心部に最後に発生します。
図1.3.1(a),(b),(c)の差異は、溶融金属中に凝固核物質をどの程度含有しているかにより決まります。凝固核物質を多く含有している場合は、凝固組織は完全な等軸晶になります(図1.3.1(c))。核物質が少ない場合は、チル晶と柱状晶から構成されます(図1.2.1(a))。

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金属の凝固過程で、最初に晶出する結晶は初晶と呼ばれます。これは、デンドライト(dendrite,樹枝晶ともいう)と呼ばれる特有の形状をとります(図1.3.2)。その形状が実際の樹木の形状に類似していることから、樹枝晶と呼ばれています。柱状晶や等軸晶の多くはデンドライトが成長したものです。

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2.  平衡状態図(equilibrium phase diagram)

凝固の過程を詳細に検討するには平衡状態図を検討する必要があります。平衡状態図とは温度や、圧力、組成を変数にして、状態(相)の変化を表します。ただ、我々は大気圧(1atm=1013.25hPa)下で生活しており、通常は、圧力を一定として温度と組成を変数にして、存在する相を示します。
代表的なFe-C二元合金状態図を、図1.3.3に示します。ここで、炭素含有量が2.0wt%以下を鋼、それ以上は鋳鉄に分類されます。鋳鉄は、通常2.0~4.5wt%の炭素を含有しています。
鋳鉄の場合には4.28wt%を安定系の共晶点(A)といい、これ以下の炭素量の組成を亜共晶組成、これ以上の炭素量の組成を過共晶組成といいます。
また、鋼の場合は、0.765wt%を共析点(共析鋼)(B)といいます。それ以下の炭素量の鋼を亜共析鋼、それ以上炭素量の鋼を過共析鋼といいます。
いずれにしても、Fe-C二元合金状態図を読む場合は、鋼については準安定系(実線)を、鋳鉄の場は安定系(破線)を用いて、状態図を読むのが一般的となります。

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参考文献
機械工学便覧 第6版 β03-02章

引用図表
図1.3.1  代表的なマクロ凝固組織            機械工学便覧 第6版
図1.3.2  SEM 観察によるFe-C-Si合金のデンドライト   機械工学便覧 第6版
図1.3.3  Fe-C 二元合金状態図              機械工学便覧 第6版

2016/11/2
本稿(初稿)は、筆者の興味から、参考文献からの引用が主たるものになっています。第2稿ではより内容を絞り、かつより広範囲なデータに基づく記述を企図しております。