2.4 抜け勾配(pattern draft)

2.4 抜け勾配(pattern draft)
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1. 抜けこう配とは
造型作業において、鋳型から模型を引き抜く際に、長い平行部をもつ形状は引き抜くことが困難です。特に砂型鋳造では、引き抜く際に鋳型を壊すおそれがあります。また、金型鋳造やダイカスト鋳造であっても、鋳型から鋳物を取出しにくくなります。
このような部分には、抜けこう配(pattern draft)をつけることが望ましい。JIS B0403に規定があり、材質別に抜けこう配の許容値が定められています。
図1 鋳鉄品及び鋳鋼品の抜けこう配 出典:JIS B0403-1995
図2 アルミニウム合金及びダイカストの抜けこう配 出典:JIS B0403-1995
2. 抜けこう配の例
実際の鋳物設計では、図2.4.4に示す例のように、どの部分を分割面とするかをあらかじめ確認して、その寸法差があっても差し支えないかを検討しておく必要があります。あるいは、寸法差が許されない場合は、図2.4.5のように、形状そのものを変更しなければなりません。
図3 鋳物設計時における抜けこう配による寸法差(改) 機械工学便覧 第6版 β03-02章
図4 抜けこう配を考慮した形状変更 機械工学便覧 第6版 β03-02章
3. 旧JIS規格に定義される抜けこう配
現在、鋳造の抜けこう配については、ISO 8062 の第2版(1994年)”Castings−System of dimensional tolerances and machining allowances” を翻訳した、JIS B0403-1995 「鋳造品−寸法公差方式及び削り代方式」に示されています。従来はJIS B0407-1978 やJIS B0412-1978などで鉄系の鋳造材の抜けこう配を示していました。
本項については、旧規格に示される抜けこう配を示しておきます。これらの表は、機械工学便覧第6版に示されるものです。
表5 および球状黒鉛鋳鉄品における抜けこう配の許容値 (JIS B 0407:1978) 出典:機械工学便覧 第6版 β03-02章
表6 鋳鋼品における抜けこう配の許容値(JIS B 0412:1978) 出典:機械工学便覧 第6版 β03-02章
図7 ダイカスト鋳物における抜けこう配 出典:機械工学便覧 第6版 β03-02章
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参考文献
機械工学便覧 第6版 β03-02章
JIS B0403-1995 鋳造品−寸法公差方式及び削り代方式
引用図表
図1 鋳鉄品及び鋳鋼品の抜けこう配 出典:JIS B0403-1995
図2 アルミニウム合金及びダイカストの抜けこう配 出典:JIS B0403-1995
図3 ダイカスト鋳物における抜けこう配 機械工学便覧 第6版 β03-02章
図4 抜けこう配を考慮した形状変更 機械工学便覧 第6版 β03-02章
表5 ねずみ鋳鉄および球状黒鉛鋳鉄品における抜けこう配の許容値 (JIS B 0407:1978) 機械工学便覧 第6版 β03-02章
表6 鋳鋼品における抜けこう配の許容値(JIS B 0412:1978) 機械工学便覧 第6版 β03-02章
図7 ダイカスト鋳物における抜けこう配 機械工学便覧 第6版 β03-02章
REV:2024/12/14
ORG:2016/11/3 ・・・ 本稿(初稿)は、筆者の興味と復習を兼ねているため、参考文献からの引用が主たるものになっています。第2稿ではより内容を絞り、かつより広範囲なデータに基づく記述を企図しております。