3.6 塗型材

3.6 塗型材(とかたざい: Coating material)

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1.塗型材の要件

鋳型の粗いはだ砂の目つぶしや、はだ砂が鋳造品に焼付くのを防止するため、鋳型成型後に塗型材を塗布します。生型、焼型など鋳型の種類によって、塗型材には色々なものがあります(表3.6.1)が、基本的に以下に示す要件が要求されます。

[表3.6.1] 塗型材の成分

(1)塗布しやすいものであること。
(2)微粒子であること。
(3)溶湯の高温に触れても変質しないこと。
(4)塗型材料から、ガスの発生が無いこと。

溶湯の温度により、適用が推奨される塗型材料について、表3.6.2に示します。

[表3.6.2] 溶湯温度等により適用が推奨される塗型材

 

2.塗型材の種類

一般に使用される塗型材について説明します。

(1)黒鉛(graphite)

黒鉛は人造黒鉛と天然黒鉛とに分類されます。塗型材に使用される黒鉛は、展延黒鉛が多く、これについても大きく分けて土状黒鉛と鱗状黒鉛の2種があります。塗型には黒鉛を単独で用いる場合と、粘土水や糖蜜などと混合して用いる場合とがあります。
しかし、どのような使用方法でも、含有成分が大切です。固定炭素が多く、灰分が少ないものほど良好です。

黒鉛の粒度は、粘土水やその他の補助材を添加する場合は、150~200メッシュ程度のものが推奨されます。黒鉛を単独で使用する場合は、200~270メッシュ程度のものが使用されます。
黒鉛を単独で使用するのは、ほとんどが生型に限られます。生型の表面に少量の水をスプレーしてから、黒鉛を生型表面に刷毛で塗布されます。
一方、粘土水や糖蜜を加えて使用する場合に用いられるのは、乾燥型の方が多いです。一般に、鋳物の肉厚や鋳込温度によって、塗型材の配合を変えます。刷毛塗りの場合もありますが、スプレーガンを用いることが多いです。

(2)木炭粉

塗型剤に使用する木炭粉は、木炭を水中で砕いたものを用います。木炭粉の材料の木炭はいろいろな木が使用されますが、松炭が最も良好で、壊れやすい炭が適します。また、灰分が少なく、固定炭素や揮発分の多いものがすぐれています。粒度は水中で100メッシュのふるいを全量通過する必要があります。
塗型材は、黒鉛と同様に単独化あるいは粘土水などと混合して刷毛塗りで使用されることが多いです。また、木炭の塗型材はほとんど銅合金の鋳造型に使用されます。

(3)雲母粉(キラ粉)

実際には、滑石(3MgO,4SiO2,H2O)を粉末にしたものが多く用いられます。他には蛇紋岩(3MgO,2SiO2,H2O)の粉末も使用されます。使用の際は、粗めの生地の袋に入れて、軽くたたいて布目から出る微粉を鋳型表面にふりかけます。また、主型、中子型とも刷毛塗りを行うこともあります。最近は使用する工場が減ってきています。

(4)コークス粉

コークス粉は、パンミルで黒鉛、木炭粉、粘土水等と共に混練して、黒鉛塗型剤として使用します。しかし、塗型材より崩壊剤として使用されることが多いです。

 

 

 

 

引用文献 (株)
岡本HP 鋳物データブック  https://www.nbk­okamoto.co.jp/DataBook/
機械工作法 上巻  養賢堂出版

 

引用図表
[表3.6.1] 塗型材の成分    機械工作法 上巻
[表3.6.2] 溶湯温度等により適用が推奨される塗型材      機械工作法 上巻