4.7 消失模型鋳造法(evaporative pattern casting,full mold casting process)

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4.7 消失模型鋳造法(evaporative pattern casting,full mold casting process)

発泡ポリスチレンなどの有機材料で作った模型を鋳型砂中に埋め込んで鋳型とし、模型を抜き取ることなくそのまま溶湯を鋳造して、模型を溶湯熱により分解して気化消失させ、模型を溶湯で置換して鋳物を製造する鋳造方法(フルモールド法,ロストフォーム法)です(図4.7.1)。

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鋳型の分割、鋳型合わせ、中子造型、中子入れなどの作業が省略でき、造型工数が従来法の半数以下になります。鋳張りが出ず、鋳造歩留りが高い利点があります。発泡ポリスチレンは加工性がよく、材料価格も安価です。粘結剤を使用しませんが、わずかに添加した鋳型砂が模型の固定材と鋳型になります。一方、発泡ポリスチレンが分解した炭素による吸炭や、気化時に遊離して鋳型表面に付着して残ることがあります。

模型材料に用いられる発泡ポリスチレンは、ベンゼンとエチレンとを原料とするスチレンモノマを重合したものに、発泡剤を含浸させ、373~383K に加熱し発泡させたもので、発泡倍率の調節により、任意の比重(0.016~0.025)に成形が可能です。一般には0.018のものが多く使用されます。
模型製作は、発泡させたブロックから木材と同様に削り出し、接着剤などを用いて組立てる方法と、鋳物と同じ形状の金型を用いて発泡成形する方法とがあります。
鋳型砂は、流動性のよいケイ砂、ジルコン砂、クロマイト砂、オリビン砂などが用いられます。焼付き防止のために、発泡ポリスチレン模型表面に塗型を行います。
鋳造過程で発泡ポリスチレンを完全に気化させるため、鋳込温度を高くして、鋳込速度を速くします。
多量のガスを発生するので、ガス抜きが十分必要になります。通常砂型に比べて溶湯の流動性は低くなります。

 

 

参考文献
機械工学便覧 第6版 β03-02章

引用図表
図4.7.1  消失模型鋳造法の工程                   機械工学便覧 第6版 β03-02章

 

2016/11/5
本稿(初稿)は、筆者の興味と復習を兼ねているため、参考文献からの引用が主たるものになっています。第2稿ではより内容を絞り、かつより広範囲なデータに基づく記述を企図しております。