7.3 造型設備(molding plant)

7.3 造型設備(molding plant)

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図7.3.1に、造型設備のレイアウトの例を示します。

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砂型の造型設備では、量産用には連続再生の容易なベントナイトをバインダとする生砂型造型が用いられ。主として鋳型全体(主型)を製作します。
鋳物の特徴である複雑な内部構造を形成するためには、強度が高く崩壊性のよい中子が併用されます。大型や非量産の部品では、造型機を使用しないでも高い鋳型強度が得やすい自硬性鋳型が使われます。

(1)ジョルト・スクイーズ造型機

模型を設置した金枠に、自由落下で鋳型砂を充てんし、ジョルト(衝撃加圧)およびスクイーズ(静的加圧)を行わせる造型機です。
ジョルトピストンの外側にスクイーズピストンがあり、ジョルト後スクイーズが行えるようになっています。実際に行うジョルト回数は一つの鋳型を作るのに5~30回です。
高圧造型機には、スクイーズヘッドが分割されていて油圧で操作するものがあります。圧縮空気によりジョルトを加え、その後油圧によりスクイーズします。
通常は造型後も鋳枠を付けたまま注湯ラインヘ移送するが、造型後鋳枠を抜き取る造型機もあります。鋳枠は重量も重く、数も多くなるので、これをなくせば経済的であり、かつ管理工数が削減されます。この方法を、抜枠造型と称しています。
ジョルト・スクイーズ造型機は、振動騒音が大きく振動負荷が高いので、最近では用いられなくなっています。ジョルトの代わりにさまざまな工夫をしたスクイーズ造型機に転換しています。
砂入れに、エアレーションを適用してスクイーズ効果を高めたり、スクイーズを両側から行うタイプの造型機に変わりつつあります。

(2)ブロースクイーズ造型機

ブロースクイーズ造型機の要素について、図7.3.2に示します。

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ブロースクイーズ造型機は、砂を鋳枠内に空気を用いて吹き込み、スクイーズして固める抜枠造型機です。この機械の特徴は、両側に半分ずつの模型を付けたモールディングチャンバに砂を吹き込み、スクイーズして固め、主型を一度に作ることです。
縦型の場合には、押出して鋳型とする鋳型の両面に模型によるくぼみができるので、鋳型を前の鋳型に次々に組合わせて一組の鋳型とします。しかし、この方法では縦鋳込みとなり、溶湯の落差が大きいため、鋳造品の形状によっては好ましくない場合もあります。そのような場合には、模型と鋳枠を水平に置いた形式のブロースクイーズ造型機を用います。

(3)静圧造型機

静圧造型機は、模型に金枠をかぶせて自然落下で砂を入れ、枠上部をふさいで密閉状態にして圧縮空気を0.3sec程度砂上部に導き、砂を加圧します。空気は模型のベント穴から逃がします。騒音が低く、型の締まりもよい鋳型が得られます。

(4)中子造型機

中子造型機は、ブロー造型機の一種ですが、鋳型に吹き込んだ砂は、原則加圧成形しません。サンドリザーバ内の砂は、シューティングバルブを開けると上方および側面から吹き出る圧縮空気によって中子取り型に吹き込まれます。空気は空気逃げ穴(ベント)から排出されるので、砂だけが中子取り型内に残り、中子ができます。砂はできるだけ流動性のよいものを使用します。

(5)自硬性造型

自硬性造型は、非量産の鋳物を製造する装置で、小物の場合には連続移動装置を使用しますが、大物の場合にはバッチ固定式になります。

 

 

参考文献
機械工学便覧 第6版 β03-02章

引用図表
図7.3.1  造型設備レイアウト                   機械工学便覧 第6版 β03-02章
図7.3.2  ブロースクイーズ造型機                機械工学便覧 第6版 β03-02章

 

2016/11/6
本稿(初稿)は、筆者の興味と復習を兼ねているため、参考文献からの引用が主たるものになっています。第2稿ではより内容を絞り、かつより広範囲なデータに基づく記述を企図しております。