下塗塗料と上塗塗料との相性

下塗塗料と上塗塗料との相性(Compatibility between undercoat paint and topcoat paint)

         下塗塗料と上塗塗料との組み合わせに良くないもの有り

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下塗塗料と上塗塗料とには相性があります。

1.塗料の構成要素

塗膜構成要素を機能面から考えると、塗膜形成主要素および、塗膜形成副要素、塗膜形成助要素とから構成されています。これらの構成要素のうち、透明な媒質はビヒクル(vehicle)よばれ、さらにその内の不揮発成分をビヒクルソリッド(vehicle solid)といいます。また顔料を含まない塗料を透明塗料(クリア; clear lacquer)といい、着色顔料を含む塗料を着色塗料(エナメル; enamel)といいます(図1)。塗装して塗膜に残る成分(塗膜形成主要素と塗膜形成助要素、それに着色塗料の場合は顔料を含む)を不揮発分(non-volatile)といいます。

図1 塗料の構成要素  参考 機械工学便覧  第6版

 

一般に塗装は、下塗り→上塗りの2層塗り、下塗りと上塗りとの間にサーフェーサー(中塗り)の3層塗りなど、塗装の上にさらに塗装を重ねる場合が多いです。この場合、問題になるのが下塗り塗料と上塗り塗料との相性です。

この際に問題になるのは、多くの場合塗膜生成主要素で、乾性油や、天然樹脂、合成樹脂、セルロース誘導体などの高分子物質が用いられます。特に工業塗装では、使用環境に応じた特性の各種合成樹脂が主流を占めています。次項では、塗料に用いられる塗膜生成主成分について概説します。

 

 

2.塗料に用いられる塗膜を生成する主成分

塗膜生成主要素は、高分子有機物が用いられます。初期のころは油(乾性油、半乾性油)、天然樹脂(漆)、セルロース(硝化綿)などの天然物質が主流であったが、第二次世界大戦後フタル酸樹脂などの合成樹脂を用いる塗料が開発されて、現在ではこれらが主流になっています。

表2に現在使用されている代表的なものを示します。

表2 塗膜生成主成分による分類

3.塗料同士の相性について

表3に、(一社)日本塗料工業会のホームページにある資料から、下塗り塗料に対する重ね塗り塗料の適合性について記載されたものを抜粋して示します。

表3 塗料の重ね塗りの適合性

 

管理人も実務の上で、塗料の相性について不具合を経験したことが数件あります。しかし、現時点ではパート勤務とはいえ関係団体に所属しており、記述は難しいと認識しています。ただこの表は十分考慮の対象になります。

また、塗装関係の書籍には具体的にどのような問題があるかの記述があるものがあります。今後、本コンテンツのリライト時にそれらについては追記していこうと考えています。しばらくお待ちください。

 

一応、記載のある代表的な書籍の敬称を下記に示しておきます。興味があればご覧ください。

塗装実務読本(第2版)
Failure Analysis of Paints and Coatings

 

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参考文献
塗装実務読本 -第2版- 副島啓治他  日刊工業新聞社
機械工学便覧 第6版  β02-05章   日本機械学会
(一社)日本塗料工業会HP

 

引用図表
図1 塗料の構成要素    参考 機械工学便覧  第6版
表2 塗膜生成主成分による分類   参考 機械工学便覧  第6版
表3 塗料の重ね塗りの適合性   参考 (一社)日本塗料工業会HP  リンク先:https://www.toryo.or.jp/jp/book/files/t-t3-teisei.pdf

 

ORG:2021/01/20