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4.2 ロックウェル硬さ

ミツトヨ ロックウェル硬さ試験機
ミツトヨ ロックウェル硬さ試験機

4.2 ロックウェル硬さ
  (Rockwell hardness HRC,HRA)

 

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1.ロックウェル硬さとは

ロックウェル硬さは、1914年、USAのベアリングメーカであるthe New Departure Manufacturing Co. に勤務していた、Stanley Pickett Rockwellが兄弟で同僚のHugh M. Rockwellと共同で特許が出願されました。
転がり軸受のレースの硬さを評価するために考案されました。1919年に特許が取得されました。
その後、S.P.Rockwell はさらに改良を進めて、Charles H. Wilsonとともに、ロックウェル硬さ試験機として実用化されました。

ロックウェル硬さは、頂角が120°のダイヤモンド円すいまたは超硬合金球を圧子として用います。

最初に初試験力を加え、次に全試験力を加え、再び初試験力に戻したとき、前後2回の初試験力における圧子の侵入深さの差を読み取って、圧子の種類、初試験力の違いごとに決められた式で算出したものをロックウェル硬さと定義します。
初試験力が98.07N(10kgf)の場合を「ロックウェル硬さ」、初試験力が29.42N(3kgf)の場合を「ロックウェルスーパーフィシャル硬さ」といいます。
試験方法はJIS Z2245「ロックウェル硬さ試験-試験方法」に、試験機はJIS B7726「ロックウェル硬さ試験-試験機及び圧子の検証及び校正」に規定されています。

 

2. ロックウェル硬さの定義

ロックウェル硬さ、ロックウェルスーパーフィシャル硬さは、以下のように求められます。最初に、初試験力を付加した時の圧子の侵入深さと、全試験力を加え再び初試験力に戻したときの圧子の侵入深さとの差;\( h \)(mm)を求めて、圧子の種類、初試験力の違いごとに定められた計算式で算出したものと定義されます。

ロックウェル硬さ、ロックウェルスーパーフィシャル硬さの測定の手順を、図4.2.1 に示します。

また、ロックウェル硬さCスケール(HRC)の場合を例にとって、試験力のかかり方や、侵入深さの測定時期について、図4.2.2 に示します。

図4.2.1 ロックウェル硬さの測定手順


図4.2.2 ロックウェル硬さのシーケンス

ロックウェル硬さ、ロックウェルスーパーフィシャル硬さの算出式は以下の通りです。

ロックウェル硬さ(ダイヤモンド円すい圧子): \( 100 – 500h \)
ロックウェル硬さ(超硬合金球圧子): \( 130 – 500h \)
ロックウェルスーパーフィシャル硬さ: \( 100 – 1000h \)

ここで、\( h \)(mm)は圧子の侵入深さの差を読み取ったものになります。

 

 

3.ロックウェル硬さの、スケールの名称と試験条件

ロックウェル硬さ、ロックウェルスーパーフィシャル硬さには、圧子形状、全試験力によりいろいろなスケールがあります。表4.2.3 にそれらをまとめたものを示します。
また、それぞれのスケールで測定される有効な硬さの幅を、表4.2.4 に示します(JIS Z2245)。

表4.2.3 ロックウェル硬さのスケール名称と試験力

表4.2.4 ロックウェル硬さスケールの適用範囲

 

 

4. ロックウェル硬さ試験の特徴

ロックウェル硬さは、ある一定値から差し引きした数値を硬さと定義しています。そのため、求められた硬さの値は、硬さの比例関係では示されません。
ロックウェル硬さの短所は、硬いものほど感度が悪く、軟らかいものには過大な感度を示すことにあります。
一方、長所としては、最初に初試験力を付加してから本測定の段階に入るので、試料表面の面粗さがある程度粗くても測定結果に与える影響は少ないことです。さらに、試料が曲面でも補正値を用いることにより、測定・評価が可能な点が長所です。

 


 

まとめ

・ロックウェル硬さは、頂角120°のダイヤモンド円すい、もしくは超硬合金製の球を圧子に使用します。
・幅広い材料に適用できること、測定の自動化が容易なことなどから、広く普及しています。
・定義から、材料への侵入深さから求めた値なので、硬さの比例関係は担保されません。
・比較的面粗度に鈍感で、曲面の測定も可能な点が優れています。

 

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  (3)モース硬さ
  (4)やすり硬さ
  (5)鉛筆硬度

 

 

 

参考文献
材料試験硬さ技術の系統的調査   子賀 正樹  国立科学博物館技術の系統化調査報告 Vol.14 2009.May
Rockwell Hardness Test Measurement of Metallic Materials   Samuel R. Low  NIST
JIS Z2245 ロックウェル硬さ試験-試験方法

 

引用図表
図4.2.1 ロックウェル硬さの測定手順   ORG
図4.2.2 ロックウェル硬さのシーケンス   Rockwell Hardness Measurement of Metallic Materials  Samuel R. Low
表4.2.3 ロックウェル硬さのスケール名称と試験力   国立科学博物館発行資料
表4.2.4 ロックウェル硬さスケールの適用範囲   参照;JIS Z2245

 

注記:アイキャッチ画像に、ミツトヨ製ロックウェル硬さ試験機の画像を拝借致しました。ここに、謹んで御礼を申し上げます。

 

REV:2021/06/20; 図表追加等

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