リチウムイオン二次電池の火災原因の推定

リチウムイオン二次電池の火災原因の推定
(Estimation of the cause of a lithium-ion secondary battery fire)

 

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最近(2025/07/29)、福岡県糸島市のコミュニティセンターで発生した火事が、24時間充電中のリチウムイオン二次電池の発火が原因で発生したとの報道がありました(下記URLを参照してください)。

リチウムイオン二次電池が原因となる火災については、最近テレビ等の報道でも頻繁に報道されています。
本コンテンツでは、報道内容から今回の火災発生の原因について、管理人なりに推定しようと試みます。
特定の商品を貶める意図は全くありません。あくまでも技術的な見地から検討したいと考えます。

 

1. 事故の状況

2025年7月29日(水)、福岡県糸島市の加布里コミュニティセンターから出火して、鉄筋3階建ての建物のうち、主として2階部分を焼失しました。
火元は、会議室に置かれていた災害用電源のリチウムイオン二次電池で、24時間充電中されていたとのことです。
火災が発生したリチウムイオン二次電池は、災害用電源として2021年7月に購入されたもので、この火事の後24時間の常時充電を取り止めたとのことです。

 

2. 火災を発生したリチウムイオン二次電池

今回、管理人が参照したヤフーニュースでは、糸島市が購入した災害用電源の写真が掲載されていました。外箱が撮影されているので、写真からメーカを確認すると、
GOAL SERO社
形式:Yeti 3000X
発売開始時期:2020年11月
で、搭載するリチウムイオン二次電池は、3kWhで、種別はNMC(三元系)のようです。

 

3. 三元系(NMC)リチウムイオン二次電池について

Wikipediaによると、三元系リチウムイオン二次電池は2000年に日本とアメリカで開発されたそうです。主として、EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド自動車)に用いられています。
中国ではEVバッテリーの主流が三元系二次電池からリン酸鉄系(LEP)二次電池に移行する動きがみられますが、現在でも多くのメーカで使用されています。

非常用電源でも、最近発売されたものは、リン酸鉄系のものがよく用いられるようになっています。
Wikipediaによる、三元系二次電池とリン酸鉄系二次電池との比較を以下に示します

 

4. 出火原因の推定

今回の火災原因については、24時間常時充電によるものと推定されます。
リチウムイオン電池二次が充電率100%に(満充電)達した後も、充電器に接続したままにすることを過充電状態といいます。通常、リチウムイオン二次電池ユニットには、満充電に達した後充電できないよう、バッテリー管理システム(BMS)が実装されていますが、搭載されていますが、経年的に充電量が減少したとき、わずかな減少に対しても速やかに充電を行うため、電池側の負荷は大きくなり、電池の構成要素が大きなストレスを受けます。
過大なストレスにさらされる状態が継続すると、徐々に電池の構成要素の損傷が進むと、熱暴走に至ります。三元系二次電池では過充電による熱暴走は105℃程度で始まり、発煙・発火を伴い606℃まで上昇するとのことです。
発火した際に、周囲に可燃物があれば引火して大規模な火事になってしまいます。ちなみに代表的な可燃物である紙類は、発火温度が230~430℃といわれますので、蓄電池の周囲に紙類があれば燃え広がる恐れがあります。
今回火事が発生した事務所の状況は分かりませんが、可燃物が蓄電池周囲にあった可能性が高いと推定されます。

 

5.三元系二次電池以外の電池についての安全性

三元系二次電池は、起電力の高さや性能的に優れますが、熱暴走が発生したときは、高温になり発煙・発火を伴います。
近年、自動車に積載しても衝突事故時のクラッシュ耐性が比較的高い、リン酸鉄系二次電池が中国を中心に販売数量を増やしてきています。リン酸鉄系二次電池は、熱暴走に対する安全性が高いといわれています。3項に示す、三元系二次電池との比較表で見る限り、過充電による熱暴走では179℃まで以下上昇せず、紙類の発火温度に達しない他、電池自身も発煙に留まるとされています。

リン酸鉄系二次電池は、当初バスなどの大型車両向けから採用が始まりましたが、乗用車向けにも、BYDなどで採用されています。
また、充電可能回数が、他の種類のリチウムイオン電池と比較して多く、長寿命なことからリン酸鉄系二次電池が非常用電源として採用されることが増えています。主として中国系のメーカーですが、長寿命や安全性を前面に宣伝しているようです。

 

6. 非常用電源としてリチウムイオン二次電池を採用する際の注意事項

リチウムイオン二次電池は、充放電は精密な化学反応によります。満充電や過充電の状態、また過放電の状態でも電池の寿命や安全性に大きな影響を与えます。
特に今回の発火事故の原因と推定される、常時電源接続は他の電気器具ではよくあることです。
私たちは、使用前、使用中も取扱説明書を熟読して、誤った使用法にならないよう、十分注意する必要があります。
非常用電源としての蓄電池は、災害時や屋外イベントなどで使用する機会も多くあるかと思います。便利さは享受しつつ、一方使用時の制約についてもよく理解しておくことが必要です。

 

参考記事URL:ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/389c361c4496667d56a590aeb9ecb706ac290a4b

ORG:2025/08/15

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