2.4 容積流量計(Positive Displacement Meter)
2.4 容積流量計(Positive Displacement Meter)
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1. 原理
一定容積の容器に液体を充満して、次々に送り出す方式の流量計をいいます。構造は色々な種類が考案され実用化されています。
ここでは一例として、オーバルギア式流量計を示します(図2.4.1)。オーバルギア式流量計は、2つの楕円形の歯車によって流体を、一定の容積の空間(ケーシング)に、連続的に導いて、歯車の回転数から流量(体積流量)を求めます。
流体は連続的に流れていますが、2つのオーバルギアによって仕切られる空間はオーバルギアが回転しても一定であり、計量カップを使って測る方法を連続的になるように応用したものとも考えられます。
作動原理を図で示します。一方のオーバルギア(図2.4.1(a) Aの下側)の長径方向が流れ方向と並行になったとき、そのギアに回転力が加わり、2つのギアが回転します。このギアが1/4回転したときに、今度はもう一方のギア(図2.4.1(a) Cの上側)に回転力が加わります。上流側からの流れで、交互にギアに回転力が加わることにより、流体が連続して下流側に送り出されることになります。ギアと流量計のケーシング内壁との間の体積をV、ギアの回転数をNとすると、ギアが90°回転したときに、流体はつのギアが回る。このギアが 1/4 回転したときに、流体がVだけ下流側に押し出されることになるので、流量は4NVになります。
この流量計は、原理から積算体積流量計であるが、ギアの回転速度が瞬時流量に比例するため、瞬時流量計としても使われます。一定量ずつ移送されることから、PD メータ(Positive Displacement Meter)とも呼ばれます。
2. 特徴
2.1 長所
(1)一定の体積を直接測定するため、精度は良好です。
(2)積算流量(体積)を直接測定できます。そのため、ガソリンスタンドの計量メータによく使われます。
(3)流体の温度や圧力の影響をあまり受けません。また、一定以上の粘度であれば隙間からの漏れ量があまり変わらなくなるので、エンドの影響も受けなくなります。
(4)流量計前後の流れの状態の影響は受けないので、流量計前後の直管長は必要としません。
(5)外部からのエネルギーのが無くても測定可能です。
2.2 短所とその対策
(1)回転子の間、回転子と容器の壁との間に挟まる可能性のある、流体中の固形物やごみを除去するために、上流側にストレーナを必ず設置する必要があります。
ストレーナのフィルターの仕様に不備があると、流量計に支障をきたすことがあります。一旦、異物が混入すると、流量計を配管を外して、メーカに送っての点検と校正で長期間使えなくなります。このために流量計を設置する場所は、バイパス配管を用意することが必要です。容積式流量計は精度が高いですが、その状態を維持するには、定期校正だけではなく、ちょっとした異常を見逃さないように日常のメンテナンスに注意が必要です。
(2)高粘度流体の計測の方が、流量計の隙間からの漏れが減少するので精度が良くなります。
(3)逆に、低粘度流体では、流体が隙間から漏れやすくなるので、精度が悪くなる傾向が有ります。
容積式流量計は、可動部の潤滑を考慮して、油系の流体の計測に多く使用されます。鉱物油系の流体では、重油、軽油、ガソリンの順に粘度が低くなります。ガソリンの場合は、指示流量が実流量に比べて低い値になる傾向があります。
(4)大流量の計測では、検出部が大きくなり一般に高価となります。
(5)流量計の下流側は脈動流になり、特に大口径の場合は騒音や振動が大きくなります。
容積式流量計は、脈動流発生器です。下流側の脈動流の影響を避ける場合には、脈動流を除去する対策が必要です。気液分離器やアキュムレータのように一定の容積の緩衝物を設置すると、ある程度脈動流を減少させることができます。
(6)可動部の摩耗がありますので、定期的に実流校正が必要です。
3. 色々な方式
液体用の容積式流量計には、原理の項で説明したオーバルギア式に代表される、回転子式の他に、スパイラル回転子式、ロータリーピストン式4ピストン式などが有ります。
(1)回転子式
/オーバルギア式
/ルーツギア式
/外接ギア式
(2)スパイラル回転子式
(3)ロータリーピストン式
(4)4ピストン式
(5)滑りベーン式流量計
関連項目
2.1 差圧式流量計
2.2 電磁流量計
2.3 超音波流量計
2.4 容積流量計
2.5 面積流量計
2.6 タービン流量計
2.7 熱式質量流量計
2.8 コリオリ流量計
2.9 渦流量計
2.10 せきによる開水路流量計