2.1 差圧式流量計

2.1 差圧式流量計

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■原理

流体が流れている管路に絞りを設けて、圧力損失を故意に発生させます。絞りにより発生する前後の圧力差(差圧)を検出して流量を検出します。絞り流量計とも呼ばれます。
絞りの形状からは、オリフィスノズルベンチュリ管の3種類に分類されますが、構造が単純なオリフィスが最も多く使われています。

測定原理は、ベルヌーイの式によるもので原理的に非常に明快で、条件さえ整えればかなり高い精度での検出が期待できます。

図2.2.1 にオリフィス式差圧流量計をの概略図を示します。

orifice flow meter principal

オリフィスの上流側、下流側に設けた圧力タップでの圧力をp1、p2とすると、ベルヌーイのエネルギー保存則より

daum_equation_1442238699654    (2.1.1)

ここで、
v1v2:断面1,2における流線上の流速
z1z2:考慮した流線の断面1,2における基準面からの高さ

配管が水平で、非圧縮性流体の場合には、ρ12 なので、
式(2.1.1)は単純化されて

daum_equation_1442238801632     (2.1.2)

になります。
断面1での流れの断面積(管路の断面積にほぼ等しくなります)をA1、断面2にでの流れの断面積(オリフィスの穴より少し絞られますのでオリフィス穴よりやや小さい面積になります)をA2とすると、連続の式から

daum_equation_1442409211957  (2.1.3)

式(2.1.2)、(2.1.3)より、

体積流量q

daum_equation_1442409378740     (2.1.4)

質量流量qmは、 daum_equation_1442409467441   と置き換えると、

daum_equation_1442409570909     (2.1.5)

が得られます。

すなわち体積流量または質量流量は、オリフィス上下流の差圧 daum_equation_1442496427758 の平方根に比例します。
管径、絞りの径をそれぞれ Dとすると、 daum_equation_1442496454924 となりますが、このβを絞り径比といいます。

実際の流体測定では、絞り部の最小断面積A2を正確に求めることは難しいので、絞り部の面積
daum_equation_1442496525639 を使用します。

また、流体の粘性による影響も考慮しなければならないので、理論式(2.1.5)の代わりに次式のように表されます。

daum_equation_1442496711053      (2.1.6)

係数Cは流出係数と呼ばれる実験係数です。絞りの形状によって異なり、オリフィスではおおよそ0.6程度になりますが、正確には他の方法で正確な流量を測定した結果より、理論値との比として求められる数値です。

■特徴

差圧式流量計の特徴には以下のようなものがあります。

◆長所

(1)絞り部の形状を正確に作成すれば、実際の流体を流して、校正を行う必要がありません。JISなどで、規格がきっちり決められています。
(2)特にオリフィスを使用した場合は、構造が単純価格は安価です。
(3)可動部が無く、保守が容易です。
(4)適用可能な流体は、液体や気体、蒸気など、色々な流体に摘要が可能です。もちろん、関係や絞り比など、設置にあたっては条件があります。

◆短所

(1)流速分布の影響を受けるので、絞りの前後にかなり長い直管長を必要とします。
(2)オリフィスのエッジ部(縁部)の摩耗等の問題があり、固形物を含む液体への適用は適していません
(3)一般に、圧力損失が発生します。とくにオリフィスは圧力損失が大きくなります。ベンチュリ管の場合は比較的圧力損失は小さいですが、価格は高くなります。
(4)流体の中にゴミやさびなどが混入すると、圧力を取出す部分が詰まり、正しく計測されない場合があります。
(5) 流量は差圧の平方根に比例するので、実質的な測定範囲を広くとることができません。この測定範囲(レンジアビリティ)は比較的小さく、1:3 ないし 1:4 程度で使用される場合が多いです。

 


関連項目

2.1 差圧式流量計
2.2 電磁流量計
2.3 超音波流量計
2.4 容積流量計
2.5 面積流量計
2.6 タービン流量計
2.7 熱式質量流量計
2.8 コリオリ流量計
2.9 渦流量計
2.10 せきによる開水路流量計

 

 

MOD:2023/10/29