2.6 タービン流量計 (Turbine meter)

2.6 タービン流量計

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■原理

タービン流量計の原理は、流路に羽根車を設けて、流体の力によって羽根車を回転させてその回転数から体積流量を測定するものです。羽根車の形式から、軸流羽根車式接線流羽根車式に大別されます。
軸流羽根車式は流れの方向に沿って羽根車が回転します。形状は少し異なりますが、原理的にはオランダの風車の回転原理です。一方接線流羽根車式は、流れの方向と直角の軸に沿って羽根車が回転します。水車小屋にある水車のイメージです。

軸流羽根車式の代表的な流量計は、工業用タービンメータです。接線流羽根車式の代表的な流量計は、皆様の目に触れることはあまりないですが、家庭で使われている水道メータが代表的なものです。

 

◆工業用タービンメータ(Indutriasl turbine meter)

工業用タービンメータは軸流羽根車式流量計のうち、高精度のものをいいます。石油精製や石油化学のプラントで主に使用されています。構造の一例を図2.6.1に示します。

図2_6_1_工業用タービンメータ概念図
管路内に設置したタービンが体積流量に比例した速度で回転します。管路の上部には磁石とピックアップとが有り、流れにより磁性体で出来たタービンのブレード(羽根)が回転して磁界を横切る際に磁束密度が変化して、起電力の変化信号がピックアップコイルで検知されます。この変化を増幅することによりパルス出力に変換します。
工業タービンメータは、清浄な液体や気体に適用可能ですが、高速に回転するロータの軸受部の摩耗を最小限に抑えられることから石油関連の潤滑性のある液体の計量に使われるようになりました。
長所は、測定の再現性が良いこと、精度が指示値の0.2~0.5%と非常に高いこと、比較的小型で大流量の測定が可能なこと、流量測定範囲が広いことなどがあります。但し、定格最大流量を超える流量が流れたり、流れに異物が混入すると、壊れる可能性が大きいことに注意が必要です。

◆水道メータ

接線流羽根車式には単箱式と複箱式があります。単箱式、複箱式それぞれの構造を図2.6.2 に示します。

図2_6_2_水道用メータ
単箱式は、ロータが鉛直軸のまわりに回転します。水は流入口から入って直接羽根にあたります。
一方、複箱式は、羽根車を格納する部屋の周りにもう一つ部屋を設けて、その部屋と羽根車室との間の壁にあけた数か所の噴流口から噴き出した水が羽根にあたってロータを回転させます。羽根車の回転数のカウントには、磁気ピックアップ、光電式、光ファイバー式の 3 つの方法があります。
家庭用の小型の水道メータは、ほとんど単箱式で磁気ピックアップによりカウントするものが多いです。
ロータの回転部分があるために定期的に更新することや、メータの口径や形式別に、実流校正ポイントや許容精度も細かく規定されています。通常の流量範囲では指示値の±2%、最小流量付近の範囲では±5%などの精度となっています。

 

 

参考文献
流量計ガイド ~選択と使い方の勘どころ~  黒森 健一  e-book
機械工学便覧 第6版  β5 計測工学

引用図表
図2.6.1 工業用タービンメータ  機械工学便覧 第6版  β5 計測工学
図2.6.2 水道メータ     流量計ガイド

 

ORG: 2016/11/28
REV: 2019/2/6 :引用図表、出典追加

 

 

 


関連項目

2.1 差圧式流量計
2.2 電磁流量計
2.3 超音波流量計
2.4 容積流量計
2.5 面積流量計
2.6 タービン流量計
2.7 熱式質量流量計
2.8 コリオリ流量計
2.9 渦流量計
2.10 せきによる開水路流量計