2.5 面積流量計(Variable Area Meter)
2.5 面積流量計(Variable Area Meter)
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この形式の流量計でよく知られたものは、テーパ管の中にフロートが入ったもので、ロタメータという商標名で知られています。一般には浮き子式流量計という名称で知られています。
◆原理
垂直に配列された配管の一部に挿入されます。テーパ管(上方に行くにしたがって徐々に広がっています)の中にフロートを浮かせて、下から上方に流れる流体によってフロートに働く抗力(フロートを通過することによる抵抗によって発生する差圧による上向きの力)と、フロートに作用する見かけの重力とが釣り合う位置で停止するので瞬時流量を示すことになります。
フロートの外側環状部分を流体が通過しますが、その通過面積は管路がテーパ管になっていますので、流量が大きくなるほど、フロートが上方に上昇し大きくなります。原理的には、絞りの面積が変化する可変オリフィス式の差圧式流量計に分類されます。
フロートの前後の差圧を ⊿p 、フロートの最大断面積をAf とすると、フロートに作用する力は⊿p・Afなので、これがフロートの重量と釣り合います。すなわち、
(2.5.1)
ここで、Vfはフロートの体積、ρfはフロートの材料の密度、ρoは流体の密度、gは重力加速度を表します。
一定流量がフロートの周りを流れているとき、フロートの位置が下がると、環状の流路が狭くなり、差圧は大きくなって、フロートは上昇します。フロート位置が上方に動くと、今度は環状の流路が広くなって、差圧は小さくなるので、フロートは下降します。この繰り返しによ入り、フロートの見かけの重量と釣り合う位置に、フロートはとどまります。
流体が通過する面積A の絞りを通る体積流量Q と差圧⊿pとの関係は k を定数として、次式で表されます。
式(2.5.1)、(2.5.2)から、体積流量は次式であらわされます。
すなわち、体積流量Qは、流体が通過する面積A に比例します。
フロートの位置は流通面積A に比例するので、テーパ管に目盛りを設けておけば、フロート位置
から流量を求めることができます。
◆特徴
■長所
(1)現場指示計として使用する場合には、テーパ管の目盛を読むので電源が不要です。
(2)液体、気体、蒸気などいずれの流体でも測定可能です。
(3)流量計前後の直管長が不要です。
(4)差圧式流量計と比較すると、流量測定範囲が広いです。測定可能範囲は、一般的にフルスケールの10~100%になります。
(5)他の流量計と比較して安価です。
(6)圧力損失が比較的小さいです。
(7)フロートや指示物の材質を変えることが比較的簡単なので、耐食性を要求される用途でも使用可能なものが製作されています。
■短所
(1)精度は高くありません。フルスケールの2~5%程度になります。
(2)流量計の配置は垂直で無ければなりません。
(3)固形物を含む流体の測定には適していません。
(4)不透明な液体の測定は困難です。
(5)遠隔場所で測定値を読み取る必要のある場合、伝送タイプを選択すると比較的高価になります。
◆起こりがちなトラブルとその対策
(1)付着性流体
付着性流体の測定に面積流量計を適用することは避けるべきです。テーパ管の内側やフロートの側面に付着すると、測定に影響が出るばかりでなく、付着物により流量の読みができないことにもなります。特に低流量域でフロートが低い位置に保持されてしまうと、フロートの最低位置で固着する場合固形物を含む場合はスラリー専用型の流量計を適用します。特に摩耗性のスラリーの場合はフロートのエッジが摩耗すると測定誤差が発生するので注意しなければなりません。
(3)高粘度流体
おおよそ20cP程度の粘性流体までは測定可能ですが、更に粘度が高い非ニュートン流体には適用できません。
(4)熱衝撃
テーパ管または外筒直管がガラス製の場合は、高温流体の突入による熱衝撃で破損する可能性があります。仕様で、熱衝撃に耐える温度差が規定されています。熱衝撃を受ける可能性がある場合は、間接指示計で外筒が金属製(通常はステンレス鋼)のものを選択してください。
(5)ハンチング(フロートの振動)
脈動流は測定誤差の原因となります。測定誤差は、脈動流の周波数、流体の性質、流用計の性質により大きく異なります。脈動流が特定の周波数の場合は、共振が生じてフロートの振動により流量計が破壊されることがあります。
◆色々な形式
(1)テーパ管式流量計
テーパ管式には、直接指示形と間接指示形があります。
a.直接指示形
図 2.5.2 に構造例を示します。透明なテーパ管を使用し、テーパ管に目盛りをつけて外部から流量を直読します。テーパ管の材質には、ガラス、透明アクリル、ポリカーボネイトが多く使用されます。半導体プロセスの超純水用では、フッ素樹脂を使う場合もあります。
その原理から、垂直に取り付ける必要があります。また、精度はフルスケールの±5%程度であるため、主に流量モニター用に使用されます。
b.間接指示形
図2.5.3に構造例を示します。この例では、テーパ管の材質は金属製で、フロートの軸を上にのばし、磁気カップリングによって、フロートの位置を検出しています。
流量計部を垂直に取り付ける必要があるのは変わりませんが、この例では、フロート部を通過したあと、流路は直角に曲げられて流出側フランジで接続されています。
間接指示形のバリエーションとして間接指示伝送形があります。これは指示機能のほかに、電流信号を伝送することもできます。
これら間接指示形、間接指示伝送形には、変換部をテーパ管の上部に置かず、テーパ管の側面に設けたタイプもあります。
(2)直管式
直管式は、外筒は直管として、フロートの方をテーパ状とし、流量が変わると絞り機構とフロートの間の流通面積が変化して、同時にフロートの位置が上下します。
そのフロート位置を、目盛りをつけた直管状の外筒から読み取ります。この場合も直管はガラスのような透明な材質が使われます。
当然ですが、直管式でも、直接指示形は管の外からフロート位置を読むので、流体は透明でなければなりません。不透明液体に対しては間接指示形が用いられます。
関連項目
2.1 差圧式流量計
2.2 電磁流量計
2.3 超音波流量計
2.4 容積流量計
2.5 面積流量計
2.6 タービン流量計
2.7 熱式質量流量計
2.8 コリオリ流量計
2.9 渦流量計
2.10 せきによる開水路流量計